kira事件、特別捜査本部・二千五◯一号室


□「aNgeL HeART」(さる作)
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暗黒に包まれた世界に降り注ぐ天からの輝き、眩しくも愛しく最も欲するべき物・・そして、最も憎むべき物・・。私達の目指す物は犯罪の無い世界・・しかし“人”が“人”である以上無くなる事など有り得ない・・“欲”が人を生かし、殺すからだ・・。選ばれて育成された天使達は哀れな人々を少しでも救う為その戦う術を手に、この家から旅立って行く。私も彼も、私達の敬愛する“L”もそれぞれの武器を手に羽ばたいて行った。・・天使の顔を持つ最強の魔を払うべく戦い傷ついた“L”はその羽を休めるべく還り、眠りに付いた・・私の愛する智天使は未だ目覚めず、その美しき黒髪は肌の白さを際立たせる・・・その横には透き通るように、清らかな川の流れの様な金の髪をした綺麗な天使が佇み、二人は絵画の中の住人の様に存在していた。この美しい世界の二人は私の物・・私により守られ、私により生かされるべき存在のはずだった・・・しかしその澱み無い想いで誓う復讐は彼を私の元から羽ばたかせて行ったのだ・・・私は許せなかった・・彼は唯一武器を持つ事を許された天使ミカエル・・手を血で染める事を神に許された天使は彼だけ・・それが腹立たしかったのだ!彼を汚して良いのは私だけだからだ・・!?神では無い!!まして彼自身でも無い・・・あの白い指も綺麗な身体も髪も総て私だけの物なのだ!?・・そこで私は彼から全てを奪い決意をした。まず、手始めに彼から“L”の名を奪いその目を私に向けさせよう・・・地位も名誉も憧れの人からの賛辞を全て奪い付くし、私を憎しみの対象に仕向けよう。彼が、その気高い翼を魔に捥がれぬ様に、どんなに離れていても私の手の内に居る事が分かる様にその心を支配しよう。“L”の様に心までキラに奪われない様に常に私を意識させよう。そうする事により二人の間には特別な世界が創造される事だろう。その中には私と彼しか居ない、しかし彼は私には勝てないだろう・・・彼にプライドがある限り、私を屈服させたい想いがある限り、彼が生き残ろうともがく限り。メロ・・・貴方には偽りの神を名乗る者を追い詰める事は出来ても、勝つ事は出来ない。純粋な魔は貴方も“L”も魅かれてしまう甘い蜜の様なモノ・・・その魔の思い描く悪無き世界は貴方達の望む世界でもあり夢でもある・・・いや、メロの場合は“L”の望む世界だからこそ護ろうとしているのだろう・・元来私にはこの世界などどうでも良いし、私と私の愛する者達にとって居心地の良い世界であれば偽りの神が何をしようと関係無い。三人で永遠に過ごす秘密の楽園さえ護られれば・・・しかし、奴の出現で“L”が旅立ちメロも私も元から去って行った・・これは最も重い罪だ。その端正な天使の如く整った顔を、苦悩と屈辱で歪め、絶望へと追い遣ってやろう・・・どんなに逃げ道を用意しようと、ダミーを用意しようと必ずお前の元に行き着き、その胸に戒めの楔を打ち付けよう。その時、メロは如何するだろう・・私の事を想うだろうか、それとも・・・どちらにしろそれは燃え上がる恋の様に激しく彼の心を燃やすだろう。その時こそ貴方が私の物になる時、永遠の蜜月に堕ちる時・・・貴方は私の腕の中で快楽の罠に堕ち“L”と共に私の作った楽園で白き翼を降ろすが良い。私は、堕天者・・・貴方方だけに笑顔を見せよう。私の影に無数の殉教者達がその命の花を散らして行くのを、その穢れ無き眼より隠そう・・・私の背に有るのは黒き六枚の翼。この瞳に有るのは紅蓮の炎・・何時かあの偽りの神の心臓をその身体から取り出し、お前達に真紅の薔薇にして送ろう。お前達の穢れ無き魂と心臓が私の色に染まって行くのを感じながら、その白い身体を貪り喰らい尽くそう・・・今も私の傍で眠り続ける“L”その形の良い唇に何度も触れ、白い肌に真紅の花を咲かせた様に、メロ、貴方の全てに私の刻印を押そう・・・二度と私から離れて行かない様に、貴方が私を忘れない様に・・・愛しているよ・・穢したいほど・・・恋しいですよ・・・貴方を、“L”を喰らい尽くしたい・・・しかし、今はまだ早い・・総て終わらせるにはまだ早い・・一人の偽善者と二人の天使の全てが私の手の内に入るまであと僅か・・・そう時間はかからないだろう・・・だから私は黒い椅子に座り、眼を閉じていよう。お前達がこの手の中に堕ちて来る日を夢見ながら・・・何時か来る怠惰の日に私の手の中にある二つのエンジェル・ハートに私の刻印を刻み付けるその日まで・・・浅い眠りに付こう。     《完》

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