(´ω`)φ【wammy's invention laboratory】


□「大人の階段」(さる作)
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まさかもうオプティマスが?・・・一瞬そう考えてはみたものの、オプティマス達は1番離れた場所に赴いている・・・直ぐに戻ると言っても、明日の朝まで掛かる筈だと考え直した。そうなると考えられるのは1人である。

『・・・・・・バンブルビー!?・・・まだ起きてるか!?』

そう言いながら返事も待たずに飛び込んで来たのは、その予想通りのディーノだった。

《ディーノ、起きてるよ。大丈夫?怪我とかしてない??》

たった1人残して帰還した事を気にしてか、バンブルビーは自分の事は放っておいてディーノにそう問い掛けた。そんなバンブルビーに笑顔で近付きながら、ディーノは少しおどけて答えてみせる。

『んん〜〜?怪我はしてないが、お前の事心配しすぎて胸が痛いかな?どうだ?飯は喰ったのか?』

そんなディーノの答えを微笑みながら聞くバンブルビーの寝ている横へ腰を下ろすと、ディーノは疲れたと言うように大きく腕や首を廻して見せた。

『あんな程度の奴に俺が怪我する訳ないだろ?ま、後から少ししつこい奴が出てきたけどな。何て事はない。』

肩を竦めながらそう言い笑うディーノ・・・1人戦場に残されながらも、そう言える強さをバンブルビーは羨ましいと思った。サイドスワイプもディーノを信頼しているからこそ置いて行ける・・・きっと2人の立場が逆であっても同じ様にするのだろう・・・。
どうやったらそんな風になれるのか・・・大人になったらそうなれるのかバンブルビーは知りたくなった。

《ねぇ・・・ディーノ・・・》

『Si?』

《どうしてそんなに強いの?・・恐くないの?・・・・おいらは・・・・。》

そこまで言った所で急に声がつまってしまう。涙が出そうになるのを堪えて、シーツを頭から被るバンブルビーにディーノは一瞬無言になる。けれど直ぐに気を取り直し、何時も通りの明るい声でディーノは問いに答えた。

『Grazie、バンブルビーに褒められるなんて俺も嬉しいよ。だけどな、お前が思ってるほどじゃないと思うぞ?それにたまには俺だって恐いと思う時もある・・・それはサイドスワイプだって同じだと思うぞ。』

シーツの上からポンポンと柔らかく叩きそう言うディーノの言葉に、バンブルビーは再び顔を覗かせディーノを見詰めた。そのバンブルビーにディーノは口元で微笑み言葉を続ける。

『俺だってお前くらいの時は恐くてしょうがなかったさ。だけど恐くったって敵はやってくる・・・そうしたらまた戦うしかない。そんな時、支えになるのは何時だって仲間だ。俺にサイドスワイプやジョルトがいたのと同じ様に、お前にだって支えてくれた仲間がいただろ?俺はあいつ等の為に強くなったし、あいつ等も多分同じ様な事を考えてここまで来たんだと思うぞ。』

《・・・だってディーノは大きいから・・・おいらはチビだし・・・足手まといにしかならないよ・・・今日だってディーノ達が来てくれなかったら・・・恐かった・・・・このままって思ったら・・・・・》

声がつまり大きな蒼い瞳が涙で滲むのを見てしまったディーノは、困った様に頭を掻くとシーツにくるんだままバンブルビーを自分の膝の上に抱き抱えた。

『ビー・・・ったく!ほら、こっち来い!?』

《え・・・?うわわ・・・・っ!?》

驚くバンブルビーが抵抗しようにも、シーツに包まれたままでは大した事は出来ない。バンブルビーは大人しくディーノの膝へ座るしかなかった。

《ディ・・ディーノ!》

シーツごと抱き抱えられて戸惑うバンブルビーのおでこにディーノはチュッと音を立ててキスをすると、ニコリと微笑みあやす様にバンブルビーの身体を揺すり始める。

『何だぁ?俺の自慢の可愛い子ちゃんは、いじけ虫になっちまったのかぁ?』

《ち、違うよ!・・・おいらは・・・ただ・・・》

『ん〜〜〜?何だ・・・・言ってみろ?口に出しちまった方が楽になるぞ。』

そう言いながらギュッと抱き締めるディーノ。バンブルビーはそれを少し苦しいと思いながらも、胸に押し付けられた耳から聞こえてくるディーノの鼓動を心地良いと感じていた。
背中に伝わる手の感触や安心させるように囁かれる鼻歌に、何時の間にか抱えていた不安が消えて行く。さっきまではこんな自分が嫌で仕方がなかったのに・・・そう思いながらバンブルビーはゆっくりと話し始めた。

《・・・・あのね・・・・おいら・・・声を失くした時・・・メガトロンに今日みたいにされてて・・・その時の恐さとか痛みがまだ消えなくて・・・戦いで似たような目に合うとどうしても思い出しちゃうんだ・・・何時もはアイアンハイドやオプティマスが眠るまでいてくれるんだけど・・・でも・・・何時までもそんな風に甘えてられないし・・・早く1人前の戦士になって皆の助けになりたいのに・・・。》

ポツリポツリと話すバンブルビーの言葉を、ディーノは小さく頷きながら聞いていた。時折そうか・・・と呟き、頭にキスを落とし背中を軽く叩く。子供をあやすように・・・囁かれる言葉を聞き漏らさぬようにしてくれるディーノ・・・。普段自分達の面倒を見てくれるサイドスワイプやジョルトよりも遠く、どちらかと言うと一歩離れた所からしか自分達を見ている気がする・・・。
そんな事を考えながら胸に閊えていた事を話し終えたバンブルビーは、そっと顔をディーノの方へと上げた。

『・・・ん?・・・もう良いのか?・・・スッキリしたならこのまま寝ちまえ。』

ニヤリと笑いながらそう言い、今度は頬にキスを落とすディーノにバンブルビーはくすぐったそうに笑ってみせる。

《へへ・・・今日のディーノ変だよ。凄く優しいもの・・・。》

バンブルビーのその言葉にディーノは大袈裟に驚き応える。

『おいおい・・・俺はいつだって優しいだろぉが!・・・もしかして・・・分からなかったのか!?』

その応え方がおかしくて、バンブルビーは笑いながら更に言葉を続ける。

《だって・・・何時もはおいら達から離れた場所にいて、サイドスワイプとかジョルトにまかせっきりじゃないか。》

『だから・・・優しく見守ってるだろ?』

《なにそれ・・・あはは・・・ディーノらしいや・・・。》

そう言いながら無邪気に笑うバンブルビーを見て、ディーノは余り見た事が無いくらい優しい目をしながら笑い返す。それが凄く照れ臭く感じてしまったバンブルビーは、思わずディーノから目を逸らしてしまった。
オプティマスとは違うタイプの端正な顔を、こんなに間近に見たのは初めてだとバンブルビーは思った。

『ビー・・・?』

さっきまで楽しげに笑っていたバンブルビーが、今度は急に自分から目を逸らし胸元で蠢いている。急に眠くなったのか・・・はたまたさっきまでの自分が急に恥ずかしくなったのか・・・ディーノは考えを巡らせ次は如何するべきかを考えた。
女の子達ならここで深いキスを交わし、それに酔わせて眠らせると言う手も打てる・・・男なら気が済むまで酒を飲ませて楽しめば良い・・しかし今日のこの場合はそれらに当てはめても良いべきかは悩むところだ。まして相手が自分よりも若いバンブルビーとくれば悩むのも当り前である。

【純情一直線の箱入り息子のオプティマスに比べれば、多少の恋愛経験も飲酒もあるだろうと予測は出来るが・・・さて如何するか・・・。ここはこのまま子供扱いして寝せるか・・・いや・・・気が済むまで話か?】

悶々とそんな事を考えるディーノを覗き見ながら、バンブルビーもまた妙な事を考えていた。

《・・・・ディーノ・・キスするの好きだなぁ・・・オプティマスもアイアンハイドも眠る時にはしてくれるけど、ディーノのとは何か違うんだよな・・・子供扱いしてないって事なのかな・・・??》

もともと好奇心旺盛なバンブルビーは、1度疑問に思ってしまった事をそのままにしておく事が出来ない。ゆっくりと顔を上げディーノの顔を見詰めるバンブルビーは、なんだと言うように微笑むディーノに向いこんな事を言い始めた。

《ねぇ・・・ディーノはさ・・・おいらの事子供扱いしてる・・・?》

この問いにディーノは一瞬妙な顔をした。質問の真意が見えなかったからだ。兎も角話を聞いた方が良さそうだと考えたディーノは、その質問をバンブルビーにそのまま返す。

『・・・・どうだろうな?・・・ビーは如何思う?』

《・・・わかんないから聞いてるのに・・・。》

『ビーが分かんないのか・・・そりゃ困ったなぁ?でもどうして急に、そんな事聞くんだ?』

《あのね、ディーノのキスってオプティマスとかアイアンハイドがしてくれるのと何か違う気がするんだ。2人はおいらの事子供みたいに思ってるから優しいし安心する・・・ディーノも勿論そうなんだけど・・・何て言うか・・・ちょっと違う気がするんだけど・・・。》

そこまで聞いてディーノはハッとした。そう言えばつい何時ものようにキスしまくっていたなと唐突に理解する。
こんな風にベッドで話をして抱き締めるのは、大概そう言う仲になった子ばかりだったから何も疑問を持たずにやっちまったと反省する。だがバンブルビーの事を子供扱いしているかと言えば、じつの所そうでもない。何時も一生懸命で、明るいバンブルビーを可愛いと常に思っている。もう少し大人になって、食べ頃になったら正直食べたいとも思っている。
しかしそれはもっと先の話で、バンブルビーに好きな人がいない・・・若しくは自分と両想いと言う前提のもとでだ。ひとつ落ち着いて話を進めようとディーノは思った。

『あ〜〜〜まぁ・・・オプティマス達と比べれば、俺はビーの事大人扱いはしてると思うぞ?』

するとバンブルビーは嬉しそうに微笑み言葉を続ける。

《・・・・えへへへ・・・・あのね、ジャズが言ってたんだ・・・キスは大事な人にする物なんだぞって・・・》

『へ・・・へぇ〜〜・・・。』

この可愛い子にはジャズと言うお目付け役もいるのか〜〜とディーノは改めて感じた。

『ん〜〜〜まぁ、色んな意味合いもあるけどな。確かに大事な仲間だし、間違いとは言い切れないな。』

ここは流して上手く話を纏めようと言ったこのディーノの言葉に、更にバンブルビーが喰い付いてしまった。

《色んな意味合い?どんな?どんな意味合いがあるの??》

まだ涙で濡れている瞳を今度はキラキラと輝かせ聞いてくるバンブルビーに、ディーノは心の底から失敗したと思った。ここまでいってしまうと、キチンと説明するまでバンブルビーの好奇心を止める事は出来ない・・・。
まぁ・・キスぐらいなら教えてやっても良いか・・・そんな自分の好奇心も手伝って、こう言う結論に達するあたりはディーノらしいと言える。

『・・・・・・教えてやっても良いけど、俺の言う事きけるか?』

《うん!》

全く間を置かずにそう答えるバンブルビーに、ディーノは苦笑いを浮かべる。そう言う無防備さが子供なんだぞと言いたい。

『これは2人だけの秘密にする事・・あと、逃げないでキチンと受ける事・・・守れるか?』

このディーノの言葉をバンブルビーは一瞬考えた。
何故秘密なのか・・・逃げるってどうして・・・?
だがその考えは本当に一瞬で、まぁ教えてもらえるなら良いかと言う結論に達してしまう。

《・・・分かった。守るよ・・・それで最初は?最初は何を教えてくれるの?》

本当に無邪気に聞いてくるその姿は可愛いが、逆にその無邪気さに罪悪感を感じてしまうディーノだった。

『あ〜〜〜じゃ、じゃあ先ず家族がするキスな。』

そう言いながらさっきと同じ様な軽いキスを頬に落とす。それを受けながらバンブルビーは微笑んでいる。

《オプティマス達がするのと同じやつだ。》

『そう、おやすみ〜〜とかお早うとか・・可愛い大切って思ってするキスだな。』

《じゃ、おいらもディーノにする。》

は?と思う間も無く、バンブルビーはもぞもぞとシーツから腕を出しそのままディーノの首に廻した。そして顔を引き寄せると、軽く頬にチュッと音を立てて嬉しそうに笑う。その行動に一瞬理性が飛びそうになるものの、こんな事くらいで飛ばして如何すると制する自分がいたので事無きを得る事ができた。

《・・ディーノ?》

『あ・・はは、ちょっとびっくりしただけだ。次は・・・友達同士のキスか?』

《友達?サムとか?》

友達=サムなのか・・・女の子の友達の意味で言ったんだが・・・・と思いつつも口には出さない。

『そう、ミカエラとかな。これは家族とするのと似てるけど、ちょっと違うんだな。』

そう言いながらディーノはバンブルビーの顎に手を沿え上にむかせると、先程と同じ様に軽いキスを唇にした。流石にこれにはバンブルビーも驚き目を丸くし赤くなる。

《・・・!?・・・ディ・・・ディーノ??》

そんなバンブルビーを尻目に、ディーノは淡々と説明を始めた。

『友達以上恋人未満まではこんな感じのキスを交わすんだ。唇じゃなくても良い・・・頬とかおでことか・・・他人だけど家族と同じ位大切〜〜って感じか?』

微笑みながらそう説明するディーノを、バンブルビーは赤い顔をしたまま見詰めてうんうんと頷いている。
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