kira事件、特別捜査本部・二千五◯一号室


□「inner universe」(さる作)
2ページ/2ページ

少しの物悲しさを残し逝った父の変わりに彼は沢山の愛を私と子供達にくれた。此の侭永遠に幸せが続くと思っていた・・・しかし、そんな私の考えを嘲笑うかの様に神は私に罰を与えた。・・・下の娘が19歳の時、強盗が私達の幸せを奪って行ったのだ・・・!私達は必死に彼女を守った。何度も繰り返される痛みに耐え、守り続けた・・・彼女の泣き叫ぶ声と、彼の声がだんだん聞こえなくなり、辺りに闇が訪れた・・。


その後は、死神“レム”としての意識に変わる・・・ノートを拾ったときに言われた<デスノートを使った人間は天国にも地獄にもどちらにも行けない>の意味が今、この時になり理解できた。デスノートを使った人間は死神になり、再び“慈愛”を知るまで永遠の時を人の寿命を食らい生き続けなければいけない哀れな亡者なのだ、と・・・。そして、あの子を見つめ続け守り砂と為ったジェラスはあの子の父であり、私の愛した夫のなれの果てなのだと・・・。彼も人生の何処かでデスノートを使い、そして、放棄した咎人だったのだ。・・・私達は、忘れた筈の記憶から逃れ様として、捕まった哀れで間抜けな罪人なのだ。・・・でもあの幸せな日々は嘘ではない・・今、この時でさえ・・・大丈夫・・貴女は必ず守ってあげる・・・私と初老の男と交わした密約に基づき、“L”は仮死に陥り永い眠りに付くだろう。そして夜神の父があらかじめ指示しておいた事に従い“L”をある場所に連れて行き蘇生させる・・・ただし、此れは時間との戦いになり少しでも処置が遅れれば“L"は二度と帰らぬ者になる・・どちらかが死ねば、もう一人も死ぬ様に互いの身体に細工をする等何て凶気じみた事だろう・・狂っているが、短時間のうちに正しい処置をすれば必ず生き返る方法を残しておく辺り私もこの男も愛ゆえの夢に捕まっているのだなと笑ってしまった。・・・あぁ身体が希薄に感じる・・もう終わりの時間が来た様だ・・・神よ・・・もう死んでも良いですか・・・?
      《完》
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ