kira事件、特別捜査本部・二千五◯一号室
□「Careless Whisper」(さる作)
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「あのですねぇ・・松田さんは、誰かと会う為にココに居るんですよね・・。」
「?・・はい・・!?ッて、もしかして後から合流する人って、もしかして月君だったの??」
「・・他に誰がいるんですか・・?」
其の侭、呆れ顔で自分を見ているライト君をやっぱり綺麗だなと思っている自分がいるのに気づいて大声を出しそうになったが、それでますます呆れられるのも辛いので、黙っていた。・・・沈黙が少し続いた後、何気なく見たライト君の右手に溶けたアイスクリームが垂れているのに気が付いた。僕は思わずライト君の手を取った。
「おっとっと・・垂れてるよ。気を付けないと服が汚れちゃうよ。ちょっと、アイス放して、・・う・・んとハイ!ハンカチ!」
ライト君はポカンとした顔で驚いていたが、やがて照れくさそうにハンカチを取り“ありがとう”と言ってくれたので嬉しかったんだけど、まだ変な顔してる・・何でかな?
「・・あの・・松田さんのも垂れてますよ?・・スーツが・・」
「え?・・あー!?」
うう・・情け無い・・でも、まあ良いか。照れ笑いをしながらアイスを一気食いし、汚れた上着で手を拭いた。それを見ていた店員さんが笑いながら濡れたタオルを貸してくれたのでベタベタの手を拭った。その間ライト君は何も言わずにずっと見つめていたが、周りの女の子達がくすくす笑って見ている方が気になったのでドキドキせずにすんだ。その後、店員さんにお礼を言って、周りの子達に会釈してその場を去るまでライト君は一言も口を聞いてくれなかった。少し不機嫌そうなのは気のせいだろうか?すぐ傍の階段を上りきり、預かった買い物メモを見ようとした時ライト君はやっと口を聞いてくれた。
「・・で?何処に、何を買いに行けば良い訳?」
・・やっぱり何か怒っているらしい・・?とりあえずこれ以上怒らせない様にだけしようと思った。
「あ、うん。相沢さんはこのメモの通りで・・局長は・・と、こっちのメモに・・竜崎のは連れに伝言しとくって言ってたんだけど何だったの?」
「あいつの好きな紅茶を売ってる店が判りづらいんで、説明が面倒だったのと、僕が買いに行く事が多いから一緒に行ってくれって・・・すれ違った後、すぐ言われて追いかけて行こうとしたら、ワタリさんが近くまで行くからって乗せてもらったんだ。おかげでたいして待たずにすんだけど」
ワタリさん、僕には声掛けてくれ無かったのに・・・でも、あのそのおかげで駅までの奇行を見られずに済んだからまあ、良いか。でも何か本末転倒・・だな。ライト君から離れようとして、二人きりって・・神様は僕の事嫌いなんだろうか・・それとも、苦労を労ってのご褒美に二人きりにしてくれたんだろうか?・・どっちにしても原因を探る良い機会かもしれない!頑張れ、俺!?
「・・松田さん!! 聞いてますか?」
突然、ライト君のどアップで現実に返された。素で驚いて後ずさりした。
「な・な・何!?」
「だから、聞いてんですか?とりあえず、竜崎の買い物を片付けてから相沢さんのを片付けましょうって言ってるんですけど・・・?」
「・・あ、ああ、そう?」
あーびっくりした。やばいくらいドキドキしてる・・まつげ長いんだな〜・・って、そうじゃなくて、買い物だよ!・・・とりあえず、フォローする事も考えて行動しなくちゃ・・。
「・・・んー・・竜崎の買い物ってこの近く?」
「?いいえ、サンシャインの中のワールドインポートの中なんで、少し遠いかな?」
「・・・だったら、先にこっちを片付けて宅配便で送っちゃおうよ。それから行った方が重い荷物持たなくて済むし・・どうかな?」
少し怪訝そうに眉をしかめたが、すぐに“そうですね、じゃあ、そうしましょう(面倒だし)”と少し気に掛かる言い方だったがそう言ってくれたので安心した。早速、すぐ傍にあるデパートに入り、メモの買い物を済ませようと地下街に行った。滅多に買い物に行かない独身男の来るところじゃないが、いろいろ売っていて楽しそうだと思ったのは、隣に佇み、やはり珍しそうにあたりを見回してる彼のせいなのかは判らなかった。しかし、一緒に居られて幸せを感じている自分が居る。俺・・その気は無い筈・・なんだが?自信無くなって来た・・・と、取り合えず買い物に集中しよう!・・・相沢さんの奥さん・・・頼みすぎですから・・・!?いつもこんななのかな?ちょっと気の毒に思えてきた・・・へー、局長はこんな銘柄のお茶が好きなのかー・・お歳暮用に使えるな・・。てきぱきと買い物を済ますライト君は、やはり久しぶりの開放感なのか、やけに楽しそうにしていた。良かった。機嫌直ったみたいだ・・・。でも、何で先刻機嫌悪くなったんだろう??ライト君の横顔を見ながらそんな事を