kira事件、特別捜査本部・二千五◯一号室


□「渚の♪カンパリ・ソーダ」(さる作)
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良い気持ちで眠る俺の顔に日差しが“起きろ”と言わんばかりに差込み、風が頬を擽る。それに誘われる様に目を開けると、小奇麗な部屋の中キングサイズのベッドに一人きりでいる自分に気付く。一瞬“天国かな?”と思うが、そんな訳も無く直ぐに“L”の用意した部屋だったことを思い出した。少し気だるい身体を半分起こして辺りを見回す。どうやら昨日は散々飲み明かしたらしく彼方此方に酒のビンが転がっている。隣には誰かが居たらしい跡が残っているが其の姿は何処にも見れない・・・やれやれ、又置き去りにされたらしい。サイドテーブルの上のタバコに手をやり火を点け、ため息混じりに煙を吐く。

「まったく・・つれないハニーだよ・・少しは愛してくれないかなぁ・・」

天下の詐欺師アイバー様とあろうものが、あんな気まぐれな子猫ちゃんに捕まるなんて誰が想像出来ただろう!?彼女に会ったのは“L”の捜査に協力する様になって間もない頃だったっけ・・・あの頃からクールだったなぁ。そのくせ男を引き付けて離さない魅力的な女だった・・初めの内はいつもの様にまるで誘う事が礼儀の様に声をかけた俺に彼女は表情一つ変えずにこう言ったんだよな。

「貴方、女口説くのに手抜き過ぎなんじゃない?まるで誘わないと失礼なんじゃ無いかって義理みたいにくどき文句言われても、少しも嬉しくないわ。むしろ迷惑!」

・・いやぁ、あの時は驚いたな。大抵の女の子は喜ぶか頬を染めるかしてたのにってね・・・自分で言うのも何だけど、一応ハンサムの部類に入ると思うし声をかけて喜ばない奴は居ないって自負していたから結構驚いたっけ・・・目を真ん丸くして驚いていた俺に彼女は襟首つかんで自分の顔の真ん前に引き寄せてからサングラスを外し、きつめの蒼い瞳でこう続けたっけ

「・・良い事・・?私を口説きたいならもっと刺激的に、熱く、其れで居てスマートに誘って頂戴・・そうしたらベッドの中まで付き合うわ・・分かった?」

そして其の侭鼻先にキスして

「今日の口説きじゃ此処までよ」

・・・あれでヤラレチャッタンダヨナ〜・・考えてみると恥ずかしいね。あの程度でぐっと来てるなんてウブな少年みたいじゃないか?俺の今までのスキルは何処に行っちまったんだか・・・と言うか今までのは恋じゃ無かったからなぁ。どんな女も俺にとっては大事な金蔓程度にしか感じて無かったんだって思い知ったんだ・・・彼女達は心地良い時間と言葉を、俺は彼女達からお金と情報を、それ以上でも以下でもない。必要なら満足するまでお相手をする。上辺だけの関係を自分のスキルに感じている事自体おかしい事かったのかも知れないな。そう考えると、もしかしてこれが始めての恋愛なのかも・・・おいおい、いい年して恥ずかしいぞ俺。しかも、何時もと逆で俺の方が夢中になってないか?最初はおちょくられた事に腹が立ってムキになって口説いてたのに、だんだん何としても振り向いて欲しくなって・・キスしたくて・・彼女に触れたくなって・・抱きたくて・・名前を呼んで欲しくて・・・あぁ本当にヤバイ!・・今思い出してもぞくぞくする・・彼女の吐息、肌の温もり、髪の匂い、唇の感触・・彼女の感じる所を全て分かっていてもどんなに感じさせても最後には決まって俺の方が夢中にさせられてる・・。そして、俺がダウンするまで甘美でエロチックな時間を過ごさせて貰っている・・今だって思い出すだけでMy・sanが元気になって来ちまって・・オォ、今日も元気だな、我が息子よ。だが残念な事に愛しいハニーは此処にいないんだって・・・シーツを捲って息子と対面してビックリ・・!又、やられた!? ハニー・・頼むから太腿にメッセージ、息子に昨夜の点数を書くのを止めてくれ・・え〜と・・

<昨日は中々良かったわよV だんだん上手になってくれて嬉しいわ・・85点>

・・相変わらず辛口だね。昨夜はかなりいい線行ってたと思うんだけどな・・。ま、仕方ないか、ハニーの言う事は絶対だからね・・・それに今日は口紅だからすぐ落ちて楽だし一応優しくしてくれてるから幸せVと言う事にしておきましょうか!・・良し、気分も上場だし朝の空気でも吸い込んで今日も口説きまくりますか!? タバコを大きく一息吸い込んで、もみ消し裸のまま窓際に歩み寄る。外は気持ち良く晴れ渡り、白い雲と青い空が目の前に広がる。都会の空気なんて何処も同じ、濁っていて不味いもんだが彼女と一緒に過ごした朝だけはどんな素晴らしいリゾート地の空気よりも旨く感じるね。今なら本当の事を告白出来そうだよ

「ん〜・・!ハニー・・君はカラカラに乾いた肌に冷たい水を投げてくれた女神だ。このまま俺とこの世の終わりまで居てくれ・・愛してるよ。」
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