kira事件、特別捜査本部・二千五◯一号室


□「Passing Summer」(さる作)
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「さぁ・・て、何か飲む?それとも話?」

以外に落ち着いている自分に驚いている自分がいる感覚が楽しい、最初の出会い方が悪かったのかも知れない、そんな事を考えていた。そして、コイツになら殺されても良いかな・・とも思っていた。不思議な感覚はコイツが優しい面差しをしてしるから?・・それとも低めの声が耳に心地よく響くから?どっちでも良い・・今日は一人じゃない。そいつはゆっくりと、でもはっきりと判りやすく話してくれた。何故私を殺そうとした男が死んだのか・・そして、その報いとして一人の死神が死んだ事や何故自分が私の下に来たのかも全て・・その時に感じたの私は私の欲しい物を手に入れる時が来たのだと・・。私は、“レム”と契約をした・・するのが当たり前の様に何の抵抗も恐怖も感じなかった。“死神の目”を手に入れる事は寿命を渡す事・・望みの物を手に入れる代価なら安いと思えた。−いつ現われるのだろうか−いつ現われても良い様に自分を磨いておかなくては、その人に相応しい役に立つ様になっておかなくては・・そう思うだけで生きるのは辛くなくなった。仕事をするのにも張り合いが出来て良い仕事を取る事が多くなってきたが、その分嫉み等を受ける事も多くなっていた・・でも、大丈夫。レムが居てくれるし、あんまりにも煩かったら・・・こんなにも穏やかな日々を過ごすのは何年ぶりだろう?憂欝な朝も、淋しさ夕暮れも、もう二度とやっては来ないのだ・・そんな幸せな日々を過ごしていたある日、とうとう私は“彼”を見つけだした。まだ、会った訳ではないから何と言って良いのか判らないけど同じノートの持ち主だと行動で言っているし、この人こそが私の運命だと感じた。寿命を見る事の出来ない“彼”こそが私の欲しい物なのだと・・。私は私の為に反対するレムを振り切り、行動に移った・・と言ってもストレートに会いに行っただけだけど、取り敢えずは自分の存在と想いを伝える事さえ出来ればと思った・・幸せな家庭の幸せな男の子。綺麗な顔の下にはどんな望みを持って生きているのだろう・・?彼は私を好きだと言うが、その遠い眼は何を掴もうとしているのか・・欲しい・・彼の全てになり、彼の望む物を手に入れ、私だけを見つめるその眼が欲しい。その為なら命さえ惜しくない・・必要ならば彼の回りの邪魔な物を一つづつ消して行こう・・そう自分に誓った。
それからの毎日は大変だったけど、彼の為になる事なら何でもした。ちょっと失敗して捕まっちゃったりしたけど助けに来てくれる人がいるから怖くなかった。・・でも、最近彼の様子が変な事に気が付いた。竜崎さんと出会ってから彼は私だけの物では無くなりつつあった・・彼があの人に侵食されて行く。・・許せない・・でも、殺せない・・彼が泣くのが判るから・・それ位心が侵食されているのが判るくらい彼はあの人に夢中になって行った。

「いつかミサを裏切るだろう。」

そんな言葉が甦る・・ダメよ!ダメ!?・・そんな事させない!!・・させるものか・・そんな想いとは裏腹に彼は私からどんどん離れて行く。このままで行けばいつか私は捨てられる・・捨てられないまでもただの道具になってしまう・・許すものか・・そんな事・・彼は私の為に存在している私だけの“神”なのだから。


ダカラワタシハイッショニイルタメノヨウイヲスルノ


きっと此の侭物事が進んで行けば、彼は私のノートを利用し始めるだろう。ノートを手放せば記憶が無くなるとレムが教えてくれた・・彼は私の事を甘く見ているから二度もノートを点検したりはしないだろう。だからこうして一枚切り取っても気付きはしない・・・これは“お守り”・・・私と彼が離れない様にする為の“お守り”・・・さあ、舞台の幕開け・・貴方の為ならどんな事でも耐えられる。どんな拷問にも口を開いたりしないから・・守ってあげる。ちゃんと忘れた振りもしていないと駄目ね・・・好きな人を安心させてあげるのも大切な事だもの・・・だから裏切らないで・・私を愛し続けて・・嘘でも一生続ければ本当になるのよ・・この“お守り”を使わなくても良い日が続く様に祈るわ・・・。もし、使う様な事になっても大丈夫。・・・一緒に逝くから・・・天国でも地獄でもない世界・・二人なら怖くない。

気付かれない様に気をつけなくちゃ・・・大丈夫・・だって私は“大女優”だもの
      《完》
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