京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯一十二


□「風になれ-みどりの為に-」(さる作)
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穏やかな地球での日々・・・僕達は笑う。

此処には硝煙も焦げた血の匂いも無い。

僕達の星は戦いの象徴・・・近隣の星々が
其の名を聞くだけで其の身を強張らせる宇宙有数の軍事国家

其処で生まれ、育った僕達は“戦う”事に関して・・
人を傷付ける事に関して注して疑問に思わなかった。

僕達の“当たり前”が僕達の進む道すら決めていた。
僕も戦いの中・・・君の為に強くなった。

君が信じて・・待っている。
君が僕の名前を呼ぶ。

僕は風になり君のもとへ行く。
君が僕を見付ける。

『ゼロロ!』

呼ばれる度に強くなる。
君を守る為に・・・・

阿修羅と呼ばれ様と夜叉と言われ様と
僕は・・・君の為に戦い続けた・・・・。


でも・・・地球侵略に来て僕達は変わった・・・


此処は美しい蒼い星
この星を始めて見た時、君が僕にこう囁いたね。
『蒼くて綺麗で・・・ゼロロみたいだね。』
お互い顔を見合わせ微笑み合い・・・手を繋いだね

そして何時もの様に行動を起こした僕達は
アクシデントから本隊から置き去りにされバラバラになった侭彷徨った。

・・・其の原因が君だった事は随分経ってから知ったけれど
今は其の事に感謝している・・・
僕達は夫々に大切な物を手に入れたから・・・

ケロンに居た頃には味わえなかったゆったりとした日々・・・
柔らかな日差しの中、空を見上げ雲の行方を捜す
此処は阿修羅も悪魔も必要としない平和な星

・・・戦いが完全に無い訳ではないけれど・・・
国同士が憎み合い、其の手を血で染めている場所もあるけれど
“話し合う”努力を知っている人々が止めようとする
“助け合う”大切さを知っている人々が傷付いた命に手を差し伸べる

僕達の国には余り必要ではなかった事・・・
僕は一人山の中で想いを巡らせる
戦場の熱い・・荒々しい風は無く
柔らかく包み込む様な風が僕を包み込む

其の中で君が微笑む・・・僕の名を呼ぶ

『ドロロ!』

此処には外から見た蒼は無い
此処には君と同じ緑が其の身を光に輝かせ僕に手招きする

僕は走る  君のもとへ
僕も呼ぶ  君の名を
君が望むなら僕は何時でも風になる

何時かこの星を侵略しなければならない日が来る・・
君は其の事を憂い・・そして考える

この星は僕達の聖域  第二の故郷
この星を大切に思う君が望むなら
僕は僕の出来る限りで守ってみせる
全ては君の為に・・・・

光り輝く深緑の中で微笑む君
差し伸べる手に触れ幸せを噛み締める
全てを包み込む
其の先にある何かを求めて

もしも・・・もしも神様が居るのなら叶えて下さい
如何か・・もう少しだけ・・もう暫くの間だけ・・
この平和が・・幸福が長く続きます様に・・・・

君が僕の名を呼び  僕が君の名を呼ぶ
繋ぎ合う手の温かさに泣きそうになる
其の侭走り出す  振り返る君の笑顔
僕達は風になる――――。            《完》

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