京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯一十二


□「Shake Down」(さる作)
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。僕は緊張した・・僕以上に両親が緊張していた。口から心臓が飛び出しそうになってるのが見えそうだった。

『次・・タママ二等兵!!入りたまえ!?』

『は、ハイですぅ!?』

頭が沸騰してる様な感覚がする・・僕と両親は機械仕掛けの人形みたいに部屋に入って行った。部屋の真ん中に椅子が三つ並んでいる・・その前に怖い顔のおじさん達が数人、書類を片手に僕達を見ている。どの人が“ケロロ”さんなんだろう・・・この人達じゃないと良いなぁ・・等と思ってしまった。審査員は4人らしくおじさん達と・・・もう一人は飽きているのか、此方に背中を向けて何やら遊んでいる。

(この野郎ぉ・・人の気も知らないで・・ですぅ)

思わず睨み付ける。椅子に座る様に促されて、僕達が腰掛けると直ぐに質問の嵐がやって来た。従軍に当たっての心構えから、自分の得意分野、果ては今の生活環境や態度まで詳細に聞かれた。取り合えず・・卆無く答えていたが、ある質問で悪い癖が出てしまった。

『・・君は見た所未だ成長段階のようだが・・・大丈夫なのかね?戦場では子供だろうが関係無い・・甘えて貰っても困るからねぇ。』

庇うママ、宥めようとするパパ・・・我慢する僕・・。

『本人は何も言えないのかね?』

『ごちゃごちゃ煩いってんだよ、この野郎ぉぉ!?文句があるなら掛かって来いってんだぁ、くらぁぁぁですぅ。』

倒れる椅子・・立ち上がり言い終わって我に返る僕・・静まり返る室内・・所在無さげなパパの手・・・全てが終わった・・そう思った時だった。

『ゲ〜ロゲロゲロゲロ・・うん!!裏も表もあって面白いであります!?君、採用決定!?』

『ぅえ?』

『ぐ、軍曹殿!?勝手に決められては困ります!』

慌てふためくおじさん達を尻目に、その人は言った。

『良いではありませんか。長期戦になるかもしれない地球侵攻・・此れ位元気があった方が良いでありますよ。え〜と・・タママ二等兵!』

『ハイですぅ!』

『・・・という訳でぇ、宜しくお願いするでありますよぉ。』

屈託無く笑う顔が、人懐こそうで・・・僕は好きになってしまった・・。強くて優しくて可愛くて・・ほんの少しお茶目な軍曹さんが大好きになった。足手まといにならない様に、少しでも僕に視線を投げて欲しくてがむしゃらに頑張った。地球侵略前に辛い任務も有ったけど・・・ただ只管に・・軍曹さんの為だけに・・・追い掛ける、何時か捕まえる、逃がさない、僕だけの軍曹さんにしてみせる。好きって言って、抱き締めて、キスをして、名前を呼んで。止まらないこの心、誰にも邪魔はさせない。笑って、声を掛けて、見詰めていて、何処に居ても想い出して、僕は軍曹さんの物です。・・・・例え、貴方が他の誰かを想っていたとしても・・・誰も踏み込めない何かを抱えていても、僕は貴方の傍に居たいんです。

『タママ二等兵、行くでありますよ!?』

僕を頼りにする貴方の声が僕を強くする。

『ハイですぅ!軍曹さん!?』

・・・必ず貴方の中に入り込んで行きます・・軍曹さん僕、諦めは悪いんです・・覚悟して下さいね。     《完》
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