京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯二十二


□「TRUTH 21century -TSP- 」(さる作)
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『何ぃ!?・・・カエル野郎、何処行きやがった!!』

誰かがそう言うと同時に、其の遥か頭上からライフルの弾丸が敵兵の1人を貫いた。声を上げる間も無く倒れ込む仲間を見て頭上を見上げる敵兵の目に、飛行ユニットを付け空に佇むガルルの姿が映った。

『・・カエル野郎とは無礼な奴だな・・戦う相手にも礼は尽くす物だぞ?』

スナイパーライフルをしまいながらガルルがそう言うと、敵兵は怒りに顔を歪ませながら怒鳴り散らした。

『貴様・・生きて帰れると思うな!?』

其の声を合図に一斉にガルルに向かい射撃が始まる。ガルルはそれをスローモーションの様に見ながら不意に微笑んだ。

『・・・ダンスを始めようか・・・』

それだけ呟き踊る様に旋回しながら、雨の様に降る弾を次々に避けて行く。風と敵兵の存在を感じながら、ガルルは次の武器を転送した。

『先ずはスローからだ・・・』

ガルルが其の手に転送したのは、充填式の小さな銃だった。

『あの野郎!?俺達を馬鹿にしやがってぇぇ!!撃て、撃ち落とせ!?』

怒りに任せ闇雲に乱射する敵兵を鼻で笑いながらガルルは狙いを定めて行く――。

『ふん・・・下手くそ共め・・・撃ち落とすと言うのは・・・こうするのだ!』

ガルルの目が金色に輝くと同時に、飛行ユニットのスピードが上がって行く。

『うぉ・・!?す・・すばしっこいぞ!!気を付けろ、散開し攪乱するんだ!?』

そう叫びながら夫々が場所を選び、其の身を隠しながら再び攻撃を再開した。

『ほう・・・少しは考える頭がある様だな・・・しかし甘いな・・・』

ガルルは両手に握り締めている銃の狙いを定め引き金を引いた・・・。

『うわっ!?』

其の攻撃は神業の如く優雅で、悪魔の如く正確無比だった。ガルルの放った弾は敵兵達の手元に着弾し、其の武器を奪い去った。地面を転がる自分達の武器を驚きの表情で見詰め、再び上空を旋回するガルルに視線を投げ掛ける。

『く、くそう・・』

敵兵達は武器を拾おうとするが、ガルルの放つ銃弾がそれを許しはしなかった。地面に転がった武器は、ガルルの放つ銃弾に踊らされ、最後には砂と化した――。

『・・・さて、パートナーを変えようか・・・』

ガルルはそう言うと軽やかに地上に降り立った。それを確認した敵兵達が騒めき、其の手にレーザーソードを転送し始めた。ガルルが鋭い目線を投げ掛けながら微笑むと、其の手には同じ様にレーザーソードを転送する。

『次はクイックだ・・・ちゃんと付いて来てくれよ・・・?』

『ふざけやがって・・此だけの人数相手に勝てるとでも・・・!?』

其の言葉は最後まで言う事は無かった。数人に囲まれているガルルの身体が一瞬揺れたと思うと、一陣の風が吹きホンの僅かに草が揺れた。

『・・ふむ・・私はまだまだ未熟な様だな・・・あいつは何も揺らさなかったからな・・』

『く・・・ぁ・・』

喉元にソードを突き付けられ、身動きすら出来ない状況の中でその言葉を聞いた。ガルルの其の顔には懐かしい物を思い出す時の優しい笑みが浮かんでいた・・。敵兵は其のガルルの顔を間近に見ながらも、何もする事が出来なかった。ガルルの表情から先程の優しさは消え去り、敵兵を見上げた顔にはナイフの様な鋭さが宿っていた。

『如何した・・?もう終わりか・・・?』

『く・・・!?』

悔しげに呟く敵兵を見上げたまま、ガルルは退屈そうに言った。

『つまらん、もっと私を楽しませてくれないか?』

後方に退きながら、ガルルはソードを納め、腕を組み佇んだ。敵兵はよろけながら喉元を擦り、何かのボタンを取り出すと高笑いしながらそれを押した。

『がははははは・・・馬鹿めが・・剣を離したのが運のつきだ!直ぐに仲間がやって来るさ!!全小隊がお前を殺しに来るからな、覚悟しておくんだな!?』

『ほう・・・それは楽しみだな・・。』

『は、強がるのも今のうちだからな!このカエル野郎が!?』

その時・・ガルルの通信機に少尉の声が入って来た。

『・・・ザ―・・ザザ・・・ガルル・・尉、ガルル中尉!聞こえますか!?全小隊・・ザー・・乗り込み完了・・・ザ・・やく、中尉も搭乗して下さい!?』

『こちらガルル・・其のまま離陸し、上空にて待機・・直ぐに向かう・・』

ガルルが通信を終える頃、辺りには何処からやって来たのか分からない程の敵兵が姿を現しガルルの廻りを取り囲んだ。ガルルはそれを一瞥し、先程の敵兵に視線を投げ掛けた。敵兵は勝ち誇った様な顔でガルルを見ている。ガルルは浅く溜め息を付くと、口元に冷笑を浮かべた。
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