京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯二十二
□「今夜はブギ-バック -smooth rap」(さる作)
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『・・何ぁんだ・・・軍曹じゃない。こんな時間に如何したの?』
『睦実殿こそ如何したでありますか?もう家に帰る時間では??子供が何時までもこんな所にいる物では無いでありますよ。』
子供・・・そう言われた睦実はムッとした表情で答える。
『子供じゃないよ!?・・・其れに俺が何処に行こうと軍曹には関係無いだろ!?・・・友達と約束してるんだ・・・じゃあね、軍曹。』
『な・・・!?関係無い訳ナイデショ―!!ギロロが心配するでありますよ!!其れともワザとそう言う事やってるでありますか!?』
そんなケロロの怒鳴り声を、睦実は背中で聞き立ち止まった。微かに振り向いた横顔から見える唇が何か言いたげに動くが、其れが音になる事は無かった。そして何も言う事無く、睦実は其の場を去って行った。
『・・・・ぬわんでありますかぁ、あの態度はぁ!!』
ケロロは怒りながらも、何処に行くのかを確認する為にアンチバリアを強化し後を付け始めた。睦実は振り返る事無く繁華街へと足を踏み入れた。賑やかな通りを相変わらずの無表情で睦実は奥へと進んで行く。
『ゲロ・・・この先は未成年が立ち寄るには少々如何わしい店ばかりでありますが・・いったい何処まで行くでありますか・・?』
ケロロがそう呟くと急に睦実が振り向いた。ケロロは慌てて電柱の影に身を隠し様子を伺う・・・睦実は辺りを軽く見回し、地下へと向かう階段を下り始めた。ケロロは慌てて其の入り口を確認する。
『ケロ・・・此処は・・・』
其の場所は地球人で言う所の“クラブ”と言う所だった。本やネットで情報は得ている物の、未成年の出入り出来る時間帯でも店でもない。ケロロは取り敢えずクルルと話をするべく急ぎ帰還する事を選んだ。
帰還したケロロはクルルの元へと急いだ。クルルは相変わらず医務室でギロロの看病をしていた。眠っているギロロの横で、持ち込んだPCを弄っているクルルに医務室の外からケロロが声を掛けた。
『・・・クルル・・・クルル、ちょっと!!』
其の声に気付いたクルルは、ギロロが眠っている事を確認するとケロロの待つ廊下へと出て行った。
『如何したんだ、隊長?何かあったのか?』
そう聞いて来るクルルにケロロはさっきまでの出来事を話した。其れを全て聞き終えたクルルは、困った様に顔を顰めた。
『・・・何やってんだよ、あいつはぁ・・!?』
『さぁね・・・どっちにしろ、我輩には関係無いけどぉ〜・・・クルルは如何すんのさ・・・一応友達なんデショ?』
嫌味っぽく聞いて来るケロロに、苦笑いを浮かべながらクルルは答えた。
『クク・・・いい加減しっかりして貰わねぇと困るんだよなぁ・・・そんな風にしてもセンパイは渡さねぇしな・・・クク・・・』
『ノロケなんかいいから、何とかして欲しいであります。』
『・・・・分かってる・・・だけどよ・・・どんな顔で会って、どんな事を言ってやれば良いのか分かんねぇし・・・話たってあいつは聞かねえよ。自分で整理するまで、誰の言葉もな・・・もし、聞くとすればセンパイの言葉だけだろ。』
クルルの其の言葉にケロロが困惑する。
『はぁ?何言ってんの!?出来る訳無いデショー!!』
ケロロの声の大きさに、思わず口を塞ぐクルルはケロロを食堂の方に引き摺り始めた。
『シー――!?大声出したらセンパイが起きちまうだろうが!!・・・・あっちに行って話そうぜ・・隊長も腹減ったろ?』
『モガモガ・・・・』
頭を縦に振りながらケロロが何かを言っている・・如何やらそうだねと言っている様だった。其れを見たクルルは1度だけ医務室のドアを見て呟いた。
『・・・直ぐ戻っから、何処にも行かないでくれよな・・・センパイ・・・』
そしてクルルとケロロは其の場を後にした。ドアの向こうでクルルのいない事に気付いたギロロが立ち聞きしていた事も気付かずに・・・・。