京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯二十二
□「ココロォドル -Original Version- 」(さる作)
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唯一メロを止められるマットですら、ゲーム機片手に微笑みながら見守るだけで何もしようとはしない。誰か如何にかしてくれと願うロジャーに、2人が詰め寄って来た。
『あぁ、もうらちがあかないぜ!?此の際ロジャーに決めて貰おうぜ!!・・・ロジャー、どっちの方が上手かったのかはっきり言ってくれよ!!』
『え!?』
『貴方にしては良い考えですね。ロジャー、はっきりと私の方が上手かったと言って下さい。』
『ええ!?』
『手前ぇ、何ふざけた事抜かしてるんだよ!?俺の方が上手いに決まってるだろう、なぁロジャー!!』
『えええ!?』
余りの勢いにロジャーは立ち上がるきっかけを失ってしまった。上から物を言われる状態で、2人同時に鬼気迫る顔で来られ正にガマの油状態に陥ったロジャーはどう答えれば良いのか迷っていた。もしもメロが優位だと言えば其れをネタに一週間は言い続けるだろうし、逆に二アが優秀だと言えば同じく一週間は詰め寄られる・・・実際はどちらも同じ位のレベルなので、其れを説明するにも面倒が起きそうで怖い・・・
『どうなんだよ、はっきりしろよ!?』
『どうなんですか、はっきりして下さい。』
“うわ〜・・お前らこんな時だけコンビネーション良いなぁ”と思うロジャー・・詰め寄る2人・・・絶対絶命の危機・・・そんな状況を救う女神の声にロジャーはハッとした。
『ちょっと・・2人ともいい加減にしなさいよ。ロジャーが困ってるじゃない。』
2人の後方から声を掛けたのはリンダだった。
『何だとぉ・・リンダお前自分は褒められたからって横から口出ししてんじゃねえぞ!?』
『ま、なぁに其の言い方・・・レディに対して失礼じゃなぁい?二アもいい加減引きなさいよ。』
『・・・私が引かなくてはいけない理由が分かりません・・・』
2人の矛先がリンダに向かい始めているのを感じたロジャーは、流石に2人を止めに入ろうとした・・・が其れはそんな時に起こった。
『こら・・お前達、いい加減に・・・』
『大体リンダは少しお節介過ぎるんだよ!人の事気にするんだったら、自分の体重の事でも気にしてろよ!?』
其の瞬間・・・空間に亀裂が入ったのを見たと、後にマットは語った。リンダはアイアンクローでメロの頭を掴むと聞き返した。
『・・・・なぁに?今、何て言ったのかしら・・・?』
『いてててててててて・・・』
『二ア・・・貴方も何か言って?』
声も無く高速で首を横に振る二ア・・・其れを笑顔で見て、再びメロに問い掛ける。
『メロ?気のせいかも知れないからもう一度聞くけど、何か言ったかしら・・・?』
此処でメロも余計な事を言わなければ終わるのだろうが、其処はメロ・・・期待通りに行動を起こす。
『だ〜か〜ら〜・・・俺達に構う前に、3キロ増えた事気にしてろって言ったんだよ!』
廻りが避難を始めるのを見ていたロジャーは、マットに手を引かれ壁際に連れて行かれる。
『ま、マット?』
『巻き添え食いたくないだろ?・・・全く・・・メロも懲りないなぁ。』
懲りないって・・?あの大人しいリンダが何をすると言うのか・・・?そんな事を考えた其の瞬間、雄叫びが辺りに響き渡った。
『このぉぉぉぉぉぉぉ!?』
其の声に振り返ると、リンダがメロを壁に投げ付けていた。驚きに声も出ないロジャー・・・なおもリンダの攻撃は続く。壁にぶつかった衝撃で、跳ね返って来たメロにウエスタンラリアートを食らわせる。
『ぐぅえ!?』
倒れこんだ所に足を絡めて4の字固めを掛け、泣きながら訴えている。
『・・・メロの馬鹿ぁぁぁぁ!気にしてるのにぃ!?』
『いってー!!ちょっ・・・悪かった!ギブギブ!!』
『何も皆の目の前で言う事無いでしょおぉぉぉぉ!?』
『あぎゃ――!?』