小説

□紅い館のお客さん
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今日は休日とあって、しばらく溜め込んだ帳簿の整理をしようと、私は客席の一つの場所に座って、さらさらと筆を動かしました。
ぽかぽかとした陽気の中でデスクワークをしてますと、どんな屈強な妖怪でも立ち向かえない、睡魔という強敵が現れますね。

そんな睡魔をやっつけるために、緑茶と紅茶の合わせ茶で撃退しようかと思っていまして、見るとそのお茶の色がウーロン茶になりました。
非常に不気味です。
何事も挑戦とはよく聞く言葉でして、美味しさとは意外性の中から生まれてきます。例えばカレーに醤油だとか、西瓜に塩だとか。
その中にいくつもの失敗と成功が存在して、ここにはその結果が残る。…うん、かっこいいですね。
そうした考察の中で、私はゆっくりとその茶色のお茶、略して茶茶をゆっくりと口に流しました。
…茶茶は正直なところ、一言で言えば微妙です。風味が風味を潰すので、プラスマイナス0という素晴らしい結果を残しました。
元々一人分しか容れてませんし、両方とも捨てるつもりの物ですから、さっと生ゴミの場所に捨てて、急須を洗いました。
次はコーヒーをココアでブレンドしてみようかと思います。

さて、帳簿の整理と言うのはやっぱりつまらないものです。
デスクワークは何かしら暇潰しをしながら行うもので、最近ここでバイトをしてくれる人に聞きますと、音楽を聞きながら作業したらどうですか、と聞きました。
ま、近くで騒霊の方々が演奏でもしてくれないと、音楽を聞く機会はあんまりないんですよね。
と、くればやっぱり話し相手が欲しいところです。高望みするのはあんまり好きじゃないですけど……


「こ、こんにちはー」


…噂をすればなんとやら。
迷信っていうのはたまにですけど的中するもんですね。

……おや?


「随分珍しい方達が来ましたね。私としてはけっこう予想外です」

私の視界に入ってきたのは緑を協調したチャイナ服を着る門番さんと、背負われて本を読んでいる魔女のお二人様でした。

「あ、あはは、そうですね。少しの間ここにいても良いですか?刹菜さん」

「構いませんよ。紅さんとノーレッジさん?」

私がそう言うと、美鈴さんは軽く会釈をしました。






「紅茶です。まあそちらのいつも給仕している十六夜さんには叶いませんけどね」

「あ、ありがとうごさいます。すみません連絡も無しに勝手に訪れてしまって。迷惑じゃないですか?」

「大丈夫ですよ。私も丁度誰か話し相手が欲しかったところですから」

心底安心したように大きく息を吐いた美鈴さんは、私が出した紅茶を一口貰ってました。
一方のパチュリーさんですが、さっきから一言も話しません。思いっきり本に熱中しているようで、周りの様子が変わったことに気がついていないのかもしれませんね。
まぁ本の邪魔をしてはいけません。もうすぐ最後みたいですからね。何の本かは知りませんが、どんな本でも最後ほどわくわくするものはないですね。

「そう言えばなんで珍しいお二人がここに?紅さんは門番だったと思いますけど、仕事の方は大丈夫なんですか?」

美鈴さんは紅魔館の門番さんです。ほとんど寝てますから門番と言えるかは難しいですが、余程の事がなければ離れることはあんまり無いと思います。まぁパチュリーさんはどう見ても運ばれてきただけだと思いますが。

「あ、はい。今日は久しぶりに図書館の大掃除をすることになったので…」



しばらく話を聞きますと、こんな様子だそうです。
図書館の大掃除と言うことで、埃がだいふ舞うという事は安易に予想できますが、ただいまパチュリーさんが本に熱中していて声が届いていなかったようです。
流石にそのままにして掃除をするのは体調に関わるため、咲夜さんが美鈴さんに頼んで、どこかに連れていってもらうように頼んだそうです。
そこで小悪魔さんも、せっかく図書館の外に出たのだから、どこか外に遊びに連れていって下さい、と美鈴さんに頼みました。
一旦は博麗神社に向かおうと思ったそうですが、どうせ騒がしくなって本を読む邪魔をしてもいけないので、私の所に来た、と言うことです。


「なるほど、つまり紅さんにとっては久しぶりの休日と言うことになりますね。それにここに来ますと私がお菓子も出しますし」

「えへへ、ばれてました?実はちょっとそれも楽しみだったんです」

「正直ですねぇ。少し待っててください。余り物ですけど多少はあると思いますから」

そんなことを話して私と美鈴さんは軽く笑いました。
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