小説2

□堕天使の追求
2ページ/17ページ


コンマ数秒で判断した靈夢は、腰に手を当てながらため息をついた。

「あ〜、そうね…。どうせ私は落ち葉集めるんだし、魅魔は適当に芋でも持ってきてくれない?ほら、つまみぐらいにはなるでしょ。」

「私、甘い物をつまみにしてお酒は飲めないんだけどねぇ。まぁいいよ。その辺の山から取ってくる。お酒は置いとくけどまだ飲まないようにね」

屑がネギだけ置いていってくれたため、靈夢はそれを神社のお賽銭付近に置いておいた。
それにしても、と靈夢は思う。

色んな奴がこの神社を訪れるものだ。

何しろ元々いるのは長寿の亀と、たまにどころか毎日のように来る魔法使い。苛つかせてくれる悪霊、Sの妖怪、胡散臭い科学者、警官、侍、ガキ、メイド。

それこそいっぱい来てくれるのは有り難いけど、大抵は賽銭を入れる様子はない。大抵お茶か酒かその他か。まぁ極まれに入れていく者も居るから何とか成り立っているけれども。

…まぁ別に嫌じゃないんだけど。

そんなことを考えてぼんやりと空を見ていると、風に紛れて何か黒い物が飛んでいるのを視界に入れた。



靈夢が手を伸ばしてみると、案外簡単に掴めたためか、近くにあったことに気がつかなかったらしい。
手には何か肌に刺さるような毛の感触がある。
手を開いてそれを見た。
その手の中には、黒い、深い闇のような…羽。
なんだろう。不思議な感じがする羽で、烏というわけでもない。
靈夢はふと桜の木の奥の森に眼を向けてみた。

「……人?」

落ちてきた何かが視界に入ってきて、それが現実だというのは森の枝が幾つかおれる音で分かる。
まぁ靈夢にとってため息をつきたくなるような出来事でしかないと本能的に理解した。
気が乗らないのは仕方ない。靈夢はその場所に足を進めた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ