loud songs

□自分の説明書
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久しぶりに一人で買い物行き、街をぶらぶらした。
今日はおもしろそうな小説を本屋で(それ以外にもいろいろ立ち読みしたり。楽しかったぁ♪)、あと秋に備えて羽織りものをお気に入りの服屋で購入(まぁ仲良しの店員としゃべってる時間の方が長かったけど)。上機嫌で家に帰ると、玄関にごついデザインなのにサイズは小ぶりな靴を見つけた。来るなら来るって言ってくれればいいのに。酒の一つも買ってくればよかったな。

「おかえり〜。」

リビングの扉を開けると、すでにひとっ風呂浴びたらしく、バスローブ姿のはいどがこっちを見もせずゆる〜く言った。
あっちょっと、せっかく恋人が帰ってきたのにその態度はないんじゃないの。けんちゃん傷つくわぁ。

「ただいま、せめてこっち見てや…ん?」

荷物を置いてよく見たら、どうやらはいどは本を読んでいるらしい。
黒の表紙に、優しい緑色の帯紙。ついさっき、俺が本屋で立ち読んだものだった。でも、緑って…

「え?それ、ちゃうやん。」

はいどはOでしょ?それABのやつじゃん、だから俺が立ち読んだんだし。

「…まぁそうやけど。おもろいで?けんちゃん結構当たってへん?」

「いや〜、そうでもないで?」

おれもTシャツと楽なズボンに着替えながら言った。

「自分じゃ自分のことわかれへんもん。」

すると、はいどはやたら嬉しそうに、ある一行を俺に見せてきた。

「いやいやここ見てや。めっちゃ当たってるやん。」

その本が話題を呼んでいる理由の一つ、斬新な、箇条書きによる構成。はいどが指さすそこには、こう書かれていた。

『少年のような目をしている。キランキランしている。今度見てごらん。』

ご丁寧になんだかシュールなイラスト付きである。

「けんちゃんの目、キランキランやでぇ♪」

いやいや、今のはいどの目の方がよっぽどキランキランやんか。
脱いだ服を適当に放って、隣に座った。男にしては華奢で、でもしっかり筋肉のついたはいどの肩を抱き寄せる。

「ちゅーか、なんではいどAB型バージョン読んでるん。買うたん?」

「ん〜?まぁなんとなく…」

さっきまで目を見て会話してたのに、急にまた本に向き直ったはいどは、照れているのがバレバレで、そんなところもとてもかわいらしく思った。

「俺のこともっと知りたかったんやぁ〜?かーわいんだはいどさんてばっ!」

ほっぺをつつきながら茶化してやったら、真っ赤な顔で、

「ちゃうわ、アホっ!」

と叱られた。あぁ、俺の恋人はどうしてこうもかわいいんでしょ!



「O型とAB型って、占いとかで合わないって言われてへん?」

「そういやそうやなぁ…けんちゃんこんな典型的AB型人間なのに、やっぱあんなん嘘っぱちなんやろか??」

「はいどやって典型的O型人間やんか。『企画書がよく通る。でも笑われることもある。』って書いてあったで??」

「けんちゃんかて読んでるんやん、O型の本…。」

しまったー墓穴掘ってもうたぁ!
ニヤリ、と上目使いで小悪魔的に笑うはいど。



あぁ、でもそんな顔も好き!!



end
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