loud songs
□電話
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あ〜ぁ、なんやおもろないなぁ…。
こないだ買ってきた小説はイマイチやったし、先週撮り溜めたDVDとかは見てもうたし、掃除も終わったし、料理する気分でもないしそもそも材料が冷蔵庫にあらへんし、買い物行くんもめんどくさいわぁ。
でもまぁオフなんやし、ある意味これも正しい「休み」方やん?
などとソファーでぼーっとしながら思っていた休日の昼下がり。テーブルの上の携帯に着信が入り、バイブが不細工な音を立てた。
ディスプレイに出た名前を見ただけで顔の筋肉が勝手に笑顔を作ってしまう。
「あぁ、私だ。」
『あはは!なんやねんそれ!』
「フツーに電話出てもつまらんやろ?飽き症な恋人持つと苦労するんですぅー。」
『いやぁ〜笑かしてもらったわぁ♪はいど最高っ。』
機械越しに聞くヘリウムボイスの笑い声。
さっきまで立ち上がるのも億劫だったのに、話しながらもリビングを出て、いつのまにかクローゼットを開けている自分に苦笑する。
「ほんでどうしたん?けんちゃん暇なん?」
『う〜ん、まぁ、なんか退屈で〜、ちょっぴり寂しくなって〜、はいどはなにしてるんかなぁって。』
はいはい、もうけんちゃんのことなんてお見通しだよ。
「ねぇ…会いたい。」
って、言わせたかったんやろ?笑
『ほな迎え行くわ!今から行くから30分後な!』
ガチャリ、と電話が切れた音さえ嬉しそうで。さっき選んだシャツに袖を通しながら、楽しくなりそうな今日という日と、かわいいあの人の笑顔を思った。
end