loud songs
□10月3日のリーダー
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HAPPY BIRTHDAY,DEAR LEADER
ピンポーン
「おじゃましまーす。」
「どうぞ。」
何十年と親しくしている幼なじみが家にやってきた。
「けんちゃん、なんで俺今日誕生日やのにもてなす側なん…?」
「まぁまぁ細かいこと言いなや〜はい、プレゼント。」
いや、別に俺たち恋人同士やないしな、もうえぇ歳やしな、でも…
「ムードもくそもないやん笑 しかもバナナて!」
「古今無頼のメガプリティ、はいどが相手ならムードも必要やけど、てつやし。」
ヘラッと笑って言われた。ひどい話である。
とりあえずバナナはテーブルに置いて、二人分のコーヒーを煎れた。
「はい、おまちどう。」
「おぅ。なぁてつ、ちょっとお前のギター貸してや。」
ゆっくり座る暇もない。
「はいはい。」
もー、祝う気あるんかないんか…はいどもこういう飼い猫はちゃんと首輪つけるなりなんなりしてくれんと困るで。
楽器をしまってある部屋から、ちょうど昨日手入れしたばかりのギターを持って再びリビングへ。
「はい、ってかまさかけんちゃん、ベタにハッピーバースデーの歌とか歌う気?」
「なわけないやろ!笑 まぁちょっときいてや。」
けんちゃんが、ギターに触れて。急に眼差しが真剣なものになる。部屋の空気が変わったのがわかる。
「〜〜〜♪」
初めて聴く曲だった。歌詞はまだついていないらしく、鼻歌のようなものだけど、でも。イントロから、ラストまで。メロディラインも、コード進行もなにもかも。
「うわぁ…けんちゃんぽいなぁ…。」
素晴らしい曲だった。けんちゃんのバイタリティが溢れかえっている。
「てつが宇宙で1番やで〜笑」
こんなん、フツーははいどにしかやらんよ?なんておどけるけんちゃん。
「いや、ありがとう。めっちゃうれしいわ。」
「てつがベースライン考えてくれたら、もっとかっこえぇ曲になるはずや。」
そんなに直球で褒められると、なんだか照れてしまう。
「俺な、ギター弾くことが仕事で、うれしい。はいどっていう、一生大切にしたいと思える人間に逢えたことも。それは全部、てつのおかげや。」
珍しく、真剣な顔でけんちゃんが言った。
「生まれてきてくれて、ありがとうな。」
不覚にも泣きそうになったことは、内緒だ。
10/3 AM11:00 ken
次ははいでぃ。