loud songs
□4回以上
2ページ/3ページ
自分の中の勝手な法則。けんちゃんが作ってくれたご飯を食べた日は、歌もギターもとっても調子がいい。
「お疲れ様〜!」
マネージャーと車の中で明日の予定を確認しながら、
「あ、今日自宅やなくて仕事用のマンションの方でえぇから。」
と伝えておく。
もちろん鍵も持ってるんだけど、インターフォンを鳴らして。
ピンポーン―――…
『新聞とすぃーとはにぃは間に合ってますぅ〜。』
けんちゃんに開けてもらうのが、好き。
「ただいま〜。」
玄関のドアを開けると、なんだかおいしい匂い。
けんちゃんがキッチンから走って出てきて、俺を抱きしめた。
ぎゅっ―――
「ご飯出来てんで。」
猫のような形の薄い唇で、甘いキスをくれる。自分の身体から疲れがフワッと抜けていく様は、鳥が飛び立つ軽さによく似ていた。
ふっくら炊けたご飯、お吸い物、茄子とピーマンの味噌炒め、ほうれん草のお浸しに、焼き魚。
けんちゃん女の子やったら死ぬほどいいお嫁さんになれたのにねぇ〜、って言ったら、俺がはいどに抱かれるなんて絵的になしやろ!って笑われた。
これくらいはやらせてって頼んで、俺が食器を洗う間にけんちゃんはお風呂へ。
俺も上がったら、明日は二人とも早いから、今日はおとなしくベットで寝よう。
サイドのスタンドも消して、おやすみ、って言ったら。
ちゅぅっ…
暗闇の中でも、今けんちゃんがどんな顔してるか、俺は知ってるよ。
おはよう。
いってらっしゃい。
おかえり。
おやすみ。
けんちゃんの愛情いっぱいのキスで、俺の1日は回ってる。
いつも『愛してるよ』って、ちゃんと聞こえてるからね。
俺の『愛してる』も、毎日4回以上するキスの中に、いっぱいいっぱい詰まってるんよ。
明日も、今日みたいに、今日以上に、ステキな日になりますように―――
end