早すぎる自叙伝
□早すぎる自叙伝
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50.<出逢い>
うちの高校はバンドマンが多い。
文化祭でライブをやるからだろうが、ちょこちょことバンドが結成されていた。
「今日さー、ボーカルの先輩がバイト休めなくて突然来れなくなちゃってさー、でもスタジオとっちゃったから、お前変わりに歌ってくんない?今日サッカーないんだろー?知ってる曲しかやらないし、適当でいいからさ!!マジ頼むよ〜!!」 クラスメイトの立見(タツミ)が話しかけてきた。
私がカラオケでたまたま男性の曲(ラルク)を歌ってたと誰かから耳にしたらしい。
確かに声にどすがきいているのでたまに男性の曲を歌っていた。
「そんなバンドでなんか歌えないよ〜。他の子に頼んでよ!!」
即断ったが、立見は 「遊びがてらやってみてよ!!」 と。
ま、カラオケのようなもんだし暇だしいっか!と思い、誘いを受けた。
これから何が起きるなんて予感もせずに、みんなとふざけながら放課後に制服のまま、電車でスタジオに向かった。
これが私のボーカル初めての日だった。