早すぎる自叙伝
□早すぎる自叙伝
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62.<バイト>
サッカーを辞めて私はバイトを始めた。
私の生まれて初めてのバイトは焼肉屋。
調理する方ではなく、接客業だった。
30歳前の若い店長さんのもと、私は色々と接客の在り方など、人としても、様々なことを学んだ。
一緒に働くバイト仲間からもだ。
慣れない仕事。
初めはメニューも分からないし、顔は強ばってるし、言葉使いも全く分からずで、
店が終わってから、まかないを食べながら指導された。
みんなとても優しかった。
私が何を失敗しても、細かく、「最初はできるわけがないよ!ゆっくりやってこうね!」と、つき合ってくれていた。
優しい人の中、仕事にも少し慣れ始め、笑顔でお客様とやりとりができるようになっていった。
高校が終わってから、家に帰り、バイトへ。
サッカーじゃないけど、今の自分にはバンドで使うお金を稼がなきゃいけなかったから、必要なことだった。
両親とは口も聞かない関係になっていた。
いつか見返してやる。
認めさせてやるんだ。
みんなを…。
いつものようにバイトに向かい、今日は少し忙しい日だなと思っていたその時、
おじさんの団体が入ってきた。
店長が深々頭を下げていた。
私はいつも通り、案内をし、注文を聞こうと近寄った。
その団体の人達は10人くらいだった。