早すぎる自叙伝

□早すぎる自叙伝
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とてもビシっとしていて、でもスーツじゃなくてスウェットのようなものを全員が来ていた。


「なんかのスポーツ帰りかな?ま、いいや。」

注文聞きながら、私は元気よく返事をし、笑いながら自分らしく丁寧に言葉を交わした。


「この人しか話さないのかな?」 そう思いながらも私は普通にその人と会話をした。


飲み物や食事を運びながら行ったり来たり。

そのたびにその人は私に話しかけてくれた。


「姉ちゃん、今いくつだ?」 「娘くらいだなー!高校生か?」 「元気いいなー!気に入った!!」

楽しそうに話してくれてた。

私も楽しくやり取りしていた。


店長はそのやり取りをじーっと見ていて、私に近づきこう言った。


「ミホコ、失礼がないようにな?」「大丈夫、大丈夫!みんないい人っすよ!!」「うん…。」

注文がないのによく呼ばれた。


「お前、顔はいいんだから、髪の毛伸ばせよ!いい女になるぞ!」と言われた。


「えー!?顔よくないっすよー!髪これは駄目ですかー???」 雑談だった。


その人が袖を肘まで上げたその時、入れ墨が見えた。

手首から。


「すっっごい入れ墨ですね!?」

その瞬間周りの10人くらいが一気に立ち上がり、私を見た。


「…???」

その人は手で座れと合図をし、みんな座り、もくもくと食べ始めた。


その人はヤクザの組長だった。

有名な人らしいが、私はまったく知らないに決まってる。


帰りに残りのお釣りを私に全部くれて、頭をポンっとたたいてこう言った。


「楽しかったよ。またな!」店を出る時、外には倍の人数の人がその人に頭を下げて待っていた。


「ミホコー!冷や冷やさせるな!」店長は飛びついてきた。

でも私は、笑ってその人の背中を見送っていた。
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