早すぎる自叙伝
□早すぎる自叙伝
2ページ/33ページ
2回高校の卒業式を見たが、卒業生が一人一人名前を呼ばれて起立するとき、笑いを取る人が何人かいた。涙よりも笑って卒業が伝統らしい。
もちろん私達の学年にも聞かなくてもどんな笑いをとってくれるんだろう?と、いう人が何人もいた。私はしないけど、決めていることがあった。
体育館に歩いてく。
前のクラスが次々に歓声と拍手のの道を通ってく。
私はいかにも普通に歩いて入っていった。
「ミホコーーー!!!」叫び声の主は1つ下の仲良し5人組。泣いてるんだね。
でも大丈夫だよ。と、微笑んで手を振り返した。
校長や来賓の方の挨拶が続き、次はそれぞれ名前が呼ばれる番だ。
体育館中が笑いに包まれていく。
呼ばれて椅子の上に立つ子や、大声で何かを叫んで起立する人、後ろの父母席と在校生に向かってなにかをする人…。
先生はそれを見ても誰も怒らず微笑んで見ていた。最後のわがままを見ていた。
「はい!!」私は叫ぶまではいかないけど、自分らしく元気に挨拶した。
温かい卒業式が終わった。体育館を出た場所では写真撮影大会が始まっている。
たくさんの友達と写真を撮った。後輩とも。
大好きな先輩達の卒業式が鮮明に蘇る。あの時の先輩達の気持ち、今なら分かるよ。
今でも大切にとってあるこの日の写真。
眩しい笑顔がたくさんある。
初めて泣かなかった卒業式が終わった。
それと、ブレザーに4つボタンがついてたんだけど、全部なくなってしまった。