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□僕らは一つ
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トサッ…――

棗の身体を押し倒し、流架は棗の頬を撫でた。
「なんだよ…?」
棗は流架の行動の意味が分からず、困惑した瞳を向けた。
「棗…」
「流架……?」
首を傾げる棗に、一層愛しさと不安と、寂しさが心へ募った。
気付かれないように、してきた…
壊したくない関係を引きずって、気付かれないように。
棗に言わないようにって…
「おぃ…?」
「棗…苦しいよ、俺…」
言えない気持ちが…苦しめる。
痛い。
心が痛い。
今にも泣きそうなくらい、苦しそうにする流架を見て棗は心配そうにした。
「どうした…」
「好き…なんだ」
「……?」
苦しそうに言う流架。
だが棗はその意味を理解できなかった。
「棗が…好きなんだ、俺っ…」
流架の口から出た言葉に棗は目を見開いた。
今度は、意味を理解できたからだ。
「親友とか、友達って意味じゃないよ…?俺の好きは…棗を恋愛対象としての、
好きだよ…?」
思いの丈というものは、一定量を越えると溢れるように出て来るもので、流架の
中で棗に触りたいという性欲にも似たものが溢れかえりそうだった。
いや…すでに溢れ出しているのかもしれないが。




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