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□《製作中》
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カチャッ…!

(!!)
足元の方で物音がして、翼は一瞬肩を震わせた。
帰ってきた。
そのことが、見ないでも判った。
「…もうっ!失礼しちゃうわよね、まったく…」
ぶつぶつと何かを言いながら長い髪を梳き、ルイは手に持っていた小瓶を机の上に置いた。
「注意事項ならもっと大きく書けって言うのよ」
置いた小瓶の横にくしゃくしゃに丸めた髪を放り、ルイは翼を振り返る。
咄嗟に目を瞑り、まだ起きていない様に見せかけたが、彼の足音は一歩また一歩とこちらに向かって来ていた。
「翼くぅーん…まだ、起きないの?」
耳元で囁かれて、一瞬ぞくりとした。
起きれない。
いや、起きたくない。
まだ、自分が眠っているものだと思っているから手を出されないだけで、起きていると知れば、きっと世にも恐ろしい体験をする事になる。
翼は必死に、眼を瞑り、まだ起きていないという事をアピールした。
「…もう…」
ルイは翼から離れると、いそいそと翼の服に手をかけ始める。
(うぁ!)
曝け出された胸元に、外気が触れて少し震えた。
それを、ルイは見逃さなかった。
「…ふぅん?」
にやりと、口元に笑みを浮かべて、ルイは更に翼の服を剥ぎ取る。
(や、やめろー!)
思っても、声は出せないし、眼も開けられない。
今の彼には、必死に耐える以外の方法がなかった。
そんな翼の様子を見ながら、ルイは卑しい笑みを浮かべる。

彼には、翼がおきていることなど、既に判っているのだ。

「…本当はー…こういうのは、趣味じゃないんだけど…」
がさごそと何かを漁り、ルイは手元の小さなリモコンのようなものを翼に握らせた。
(なんだ?)
「んふvVスイッチ、オーン」
翼の指を借り、手元のリモコンのボタンを押す。
するとどうだろう。
翼の身体の中、それも、下半身の蕾の内部で小さなものが振動を始めたのである。
(っ!!?)
身体の奥底で、音を立てて震える『ソレ』がローターバイブだと言うことは、直ぐに判った。
(な、何て物を入れやがっ…ぅ!あ!)
むずがゆい感覚から、徐々に快楽へと変わっていく振動を、どうにかして止めたかった。
だが、此処でリモコンのスイッチを押してしまえば、起きているとバレてしまう。
翼はどうすることも出来ない状態にいた。
(くそっ…やめ…っ、んっ…//)
我慢が出来なくて、声が漏れそうになる。
荒い息を吐き出しそうで恐い。
どうしたらいい。
どうしたら…?
考えれば、考えた分だけ、その間も体は快楽に侵されていく。
(…もう、ダメだっ…くそ!)

ピッ!

手元のリモコンのスイッチを押し、涙で潤み始めた瞳をのろのろと開いた。
「くす、おはよ、翼君vV」
(…あぁ…こいつは…)

俺がおきていたことを、初めから知ってやがったのか…
ルイの笑顔が眼に飛び込んで来た時。
翼は一瞬にして、自分の今の苦労が、意味のないものであったことを、悟った。




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