レイニーデイ

□3、プライド
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いつものこととはいえ、秋良は半ばうんざりしていた。
朱に交われないものをいたぶろうとするのは人間の本能だとしたら、人間とは、なんと愚かで悲しい生き物だろうか。
「お前、なんだその目!こっちが優しくしてやればつけあがりやがって」
「お前みたいなチビ相手に、俺たちがかまってやるなんてスゲーことなんだぞ」
「ほら、今ならまだ許してやるから、早く金出せよ」
秋良の前方を阻んでいる彼らは、近所で有名なワルの中学生三人組だった。
ケンカに勝つことがこの世の全て、負ける者は皆弱虫で、逆らった者は痛めつけられて当然と思っている。
秋良は、運悪く、人通りが少ないはずの通学路で彼らに捕まってしまった。
クラスの中でさえ異質な存在で通っている秋良は、他からするとそれ以上に目立つ雰囲気をかもし出している。
問題児三人は、そんな秋良の特異さをいち早くかぎとってしまったらしかった。
秋良は深い溜め息を吐き出して、睨んだ。
「そのチビに金たからなアカンほど、さもしい懐しとるとはなぁ」
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