レイニーデイ

□1、ファーストインパクト
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それから数日しても、秋良とみどりは、会話したり、一緒に行動を共にするような機会を持つことはなかった。お互いに最初の出会いは印象が悪く、特に興味を抱くようなこともなかったので、当然といえば当然の結果かもしれなかった。
ただ、通う学校も学年も一緒なので、どうしても登校や下校の時間は重なってしまい、顔を合わせないまでには至らない。
すると、偶然鉢合わせなどした日には、互いに気まずげな顔をして、少し距離を開けて目的地までを歩くはめになるのだ。
そんな時、秋良は不本意ながら決まって居心地の悪い思いを抱いた。
彼にとって、それはとても意外で忌々しいことだった。
秋良から見る同年代の者たちは、皆一様に低俗で、取るに足りない存在だった。
幼い頃に父が母を捨て(と、親父は言い張っている)てから、ろくに定職にも就かず酒を喰らっている父と二人暮らししてきた秋良は、その年で大人びた思考回路を強要された。
それゆえ、些細なことで囃し立てたり馬鹿騒ぎをする同級生は何も分かっていない馬鹿で、更に徒党を組んでいじめを行う輩は虫以下と思っていた。
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