短編
□言わぬが花
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2.
銀『――アレが京次郎』
魔死呂威組のお屋敷に忍び込む…と言うよりは塀の上を歩き回って数十分。
銀時の足元にはイカツイ男たちに混ざり旦那御所網の京次郎が居た。
銀『!』
(アラ。以外にイイ男!)
銀時は音も無く塀から降りると近くの蔵の後ろに隠れ、そこから少し離れたところに立つ京次郎に意外性を感じた。
銀(あんなイイ男なら女がほっとかねーだろ。)
前回の次郎長のとこは酷かった。
度胸や男気は別として顔はいまいち、ねずみ男みたいで髪はピッチリ七三分け。。。
アレは酷かった。。。うん、アレは酷かった。
いや、いやアレよ?
次郎長のとこのアレ、、、えーとな、名前忘れた。
銀『・・・・・・。』
い、いろんな好みが人にはあるだろう!!
ただ、俺の好みじゃない!
うん。あれは無い!!
ただそれだけ!!
ーーって、俺誰に話してるんだ?
改めて頷き京次郎に目を向けるとあちらは今忙しい様子で何やらドタバタしている。
銀(――あ、こっちに来た。)
京次郎『――若、どうして――!!!』
手下達が京次郎から走り去った後。
俺が潜んでいた人気の無い蔵の前で京次郎はそう言った。
俺は密かにバレたのではないかと逃げ腰で居たが――その後聞こえてくる小さな嘔吐に彼が大切な“何か”を失ったことを知った。
京『っく!バカヤロウが――!!』
そう声を殺して泣く京次郎はとても痛々しくて、それでもものの数分で戻ってきた男達にそんな素振りなど見せず毅然と指示を出すーーこの男に、俺はいつかの戦場を思い出していた。
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