03/13の日記
10:03
第三百六十五〜三百七十訓
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第三百六十五〜三百七十訓
山崎「――旦那!」
銀時「ん?」
事が全てを終わりを向かえ、日常に戻って二日。
歌舞伎町をぶらりと歩く銀時に明るい声がかかった。
山「鉄のこと、ありがとうございます!!」
銀「!」
土方直属の部下、――そして
銀「――そ、そんなん別にいいって”…それより二人の時は“銀時”…だろ?…ボソッ“退”//」
銀時の彼氏、山崎 退 だ。
ほんのり頬を赤らめそう言う銀時に山崎は嬉しくて嬉しくて
山「…そうですね。でも――此処は外で“大通り”ですから。今はいつも通りの“旦那”で――」
そう爽やかに笑った。
銀「―――。(ピキ。)」
本当、嫌味な位爽やかに、だ。
銀「…イジメだイジメだ…ッボソ…」
ここは言われた通り大通りでもちろん自分達の関係を公にしていない事を考えれば、山崎の言い分は当然の事だが、ここは先ほども言ったが大通りだ。
人の話し声など意に返さないどころか聞いてなどいない。
誰がどう見てもただのおっさん(自らおっさん呼びってかなり来るよね…(泣)と警察だ。
…きっとこれからも忙しくて何も出来ないだろうし、当分会うことも叶わないのだろうから。だから久々に会えた今、せめて名前だけでも呼んでもらいたい 今だけでも恋人気分を味わいたかったのに…>_<…
そんな言いたい事も言えず。。
山崎の様子に肩を落として彼に背を向け、とぼとぼ歩き始める銀時。だが――
山「でも、一緒にご飯でもどうですか?――」
その一言に一抹の光明を見出した銀時は、振り返り満面の笑みで抱き付こうとしたが――
山「――もちろん奢りませんけどね」
その一言で地面にそのまま落下した。
銀「…イジメだイジメだ…ッボソ…」
先程と同様そう呟きながらも山崎が指定した――と言ってもただ二人の一番近くにあったレストランに入った。
だが――席に着いて数分。
絶妙なタイミングでオーダーを取りに来た店員に銀時だけは固まっていた。
山「旦那、何頼みます?」
銀「―――み、水!」
そして目に涙を溜めてそう言い切った。
このレストラン。
確かにお腹の減っている二人には一番近場で嬉しかったがいかんせん金額が半端なく高い!
今では何処にでもあるドリンクバー等もちろん無く。
全てがコース料理。
ここまで言えば銀時が数分にわたり財布とメニューを睨み付けた挙句、「水!」と叫んだ意味も分かるだろう。。。
山「じゃあ俺はこのコースで」
それでもこの店に入ったのは一重にほんの数分でもいいから山崎の傍に居たかったからだ。
普段の銀時からこんな行動は考えられないだろう。。
他人を振り回し、「雲のように掴めない男」それが
坂田 銀時 だ。
――そんな彼が山崎相手ではどうも調子が狂う。。
付き合い当初大切に大切にされていた銀時。
銀時が「欲しい」と言う前にその持ち前の観察で察してプレゼントするのはもちろん。
銀時の「ここでこうされたら」「してほしい」という行動からエッチまで。
全てが銀時にとって幸せの時である様に山崎は銀時に尽くした。
銀時の為に山崎の朝が来て、銀時の為に山崎の夜が訪れる―――。
“常に銀時ファースト。”
そんな言葉が生まれる程、銀時は大切にされていた。
銀時自身も最初、そうでもなかった山崎にどんどんどんどんハマっていき、居なくてはならない存在になる頃には二人は両者共に認めるラブラブカップルそのものだった。――が。
山「――銀時、俺、実は銀時程好きになった人。生まれて初めてなんだよね。」
銀「う?うん////」
最初は愛の告白かはたまたのろけの様なものだと思った。だが――
山「それで今まで自分の性癖に気付かなかったんだけど…」
銀「うん///」
それが徐々に浮き彫りになる。
山「明日から冷たくするけどいい?」
銀「―――え?……」
山「いや、明日から急に冷たくして「浮気でもしてるの??」なんて責められたら困るから先に言うけど……俺、どうやら“どS”みたい」
銀「………は?え?えぇえぇええぇぇ??」
因みに沖田とどっちが酷いか聞いてみた銀時だが「分からない」だそうだ。
山「――でもいい勝負が出来るカモ」
そうご機嫌に片唇をあげていた姿に鳥肌がたった。
――実はそのとき
「今までに感じたことの無いゾクゾクとした快感を感じた」
なんてことは生涯誰にも言えない自分だけの秘密だ。
その日を境に山崎が銀時に優しくすることは無くなった。
こうして主従は逆転したのだ。
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