捧
□温かさに、くるまる。
1ページ/7ページ
今日は休日、日曜日。
アキラとケイスケは朝から少し大掛かりな家の掃除をしていた。
「アキラー、そろそろお昼にしないー?」
洗面所の掃除を終えたケイスケがアキラに呼び掛ける。せわしなく動いていたら、いつの間にか正午を過ぎていた。
「って、あ…あれ…アキラ……?」
そこに窓拭きをしていたはずのアキラの姿はなかった。
「…アキラ…ついさっきまで、そこに居たのに……あれ?どこ行ったんだろ……?」
首を傾げながらケイスケはアキラがいた窓際までやってきた。すると…
「……あ」
アキラは、いた。
窓から少し離れた畳の上で……眠っている。
先ほどは襖が死角となって見えなかったようだ。
アキラは体を丸めて寝ていて、自分より小柄な体が更に小さく見えた。
ケイスケは微笑ましく思った。
「…かわいい。疲れて寝ちゃったのかな」
思わず笑みが零れる。
吸い寄せられるようにケイスケはアキラに近寄る。
―――…が、はたと気が付き、ケイスケは踵をかえした。
*
「よいしょっと」
ケイスケはアキラの横に腰をおろした。
胡坐をかいた上で、頬杖をついたケイスケはアキラの眠る顔をみつめた。
「……」
――…穏やかだなぁ。
ケイスケの心にそんな気持ちが降りてきた。
時間も空間も休日の穏やかな流れに溶けている。
スヤスヤと眠るアキラの肺が呼吸をするたび柔らかく浮いて、沈む。
無防備に眠ること。
アキラが警戒せずに、ゆっくりと眠れること。
…良かった。
そして嬉しい。俺の前で、そんな風に…ありのままでいてくれること。
愛しくて仕方がない。
気が付くとアキラの髪を指で梳いていた。
「…っ!」
.