咎狗の血

□青春一本
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「アキラーーッ!」

大声で名前を呼び、満面の笑みで駆け寄ってきた恋人にアキラは怒りと気恥ずかしさで赤面した。

目の前で息を切らしているケイスケの頭をポカリと叩く。

「いたっ!ア…アキラァ〜?い…痛いよぅ……」
「ばか!な…なんでそんな大声出すんだよ!!」

周りを見渡すと何人かの知り合いがニヤニヤしながら通りすぎた。待ち合わせ場所を校門の前なんかにしなきゃ良かった。アキラは早くも帰りたくなった。

アキラが睨むと肩をびくりと震わせてケイスケがぼそぼそと呟いた。

「だ…だって、やっと学校終わったから…さ。…つ、つい……。ア、アキラとデートだなぁと思ったら…その…嬉しくって……」
「…っ!」

学パロでのアキラは服はセーラー、体は男、心は乙女寄り(という設定)なので、ケイスケの「嬉しくって」という言葉に不覚にもアキラも嬉しくなってしまった。

…が、そこはアキラ。そんな気持ちを言えるわけも、ましてや言うつもりなんて毛頭なく。
怒りの炎はすっかり消え失せたものの、まだ怒っている振りをしよう、そう思って口を開く。


「…っほ、…ほらっ!さっさと……行、くぞ……っ行…くんだろ?!こ、来い!!」

歯切れが悪いことにアキラは気付いていない。
それだけ言い放つとアキラはケイスケを置いてスタスタと歩きだした。

ケイスケは単純な男なので『…あっ、アキラ…まだデートしてくれる気はあるんだ…!(だってアキラの家と反対方面に歩いてるもんな……)よ、良かった〜。お、俺もし中止なんてことになったら泣いたなー。絶対泣いたなー。』
とか思いながらアキラの後ろを、とても慣れた足付きでついていった。



特に目立った活躍もしなかった野球部をそそくさと引退したケイスケには「アキラと放課後に制服デートがしたい!」という小さくも膨れ上がった野望があった。何もかもが上がりっぱなしでどうしょうもない。(病院行け)

なんか手は繋げていないけれど…というよりなんか前後に歩いちゃってるけど、彼は彼なりにデート(と言う名のストーキング)を楽しんでいた。

『デートって…なにをすればいいんだ……?』

特にどこに行こうと決めていたわけではなかったため、アキラは前を歩きながらいきなり途方に暮れてしまった。

『…デートって面倒くさいな……とりあえずコンビニでも行くか』

と、突然アキラはミルク瓶マークの素敵なコンビニへ入った。

『??アキラ…コンビニ入っていったけど……どうしたんだろ?喉でも乾いたのかな……?』

勿論、ケイスケも続いて自動ドアをくぐり、来店した。アキラはパンのコーナーにいた。

「アキラ…?お腹すいたの?」
「……別に」
「??」



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