咎狗の血
□青春衝撃
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「別れよう。ケイスケ」
アキラからの電話に狂喜乱舞し「もしもしアキラ!なになに?!」と腸ハイテンションで出たケイスケの耳に開口一番、信じられない言葉が聞こえた。
「え…えええぇええぇえぇぇえーーーーっ!?」
「……ごめん」
「ごごごごごめんて……!お…、俺…嫌だよ!!な、なんで別れなきゃいけないの?!やだやだっ!絶対やだーー!!」
「………」
「ね、ねねアキラ!!どうして突然別れようなんてっ?!俺…なんかアキラの嫌がることとか許せないこととかしちゃったのかな…っ?!…ま、まぁ、全くしてないという自信はあまりないけど…っ!!で、でも、お願い!なんでそう思ったのか教えてっっ!!」
アキラは暫く黙っていたが、「理由は……言えない」とポツリと零した。
「な…っ、そんなの納得できないよ…っ!!」
ケイスケは必死にアキラに訴えた。
「〜〜〜っ!とにかくごめん!!」
ガチャッ、ツーツー…
「………え?アキラ…?もっ!もしもし?!もしもし?!?ア…、アァアアキラァアー!!!」
ケイスケの悲痛な雄叫びが夜空にこだました…。
*
翌日、学校。
「あいつ、どうしたわけ……?」
「なんかアキラに振られたらしいよ」
「あー、ついに終わったかぁ…まぁ短命だとは思ってたけどね」
ケイスケはドン底だった。あまりにドン底すぎて存在が霞んでいた。
昨日は一睡も出来ず、フラフラの体で学校に到着。
アキラの登校を今か今かと目を血走らせて待っていたが、アキラは……なんと欠席。
ケイスケはもう、悲しくて誰とも喋る気になれず授業中も休憩中も机に突っ伏していた。
そんな消えそうなケイスケの背中がバシッ!っと叩かれた。
「…痛い」
「ちょっとケイスケ!さっきから、なにしみったれた雰囲気醸し出してんのさ!空気が淀むっつーの」
叩いたのはリンだった。
ケイスケは目にうるうると涙をためてキッとリンを睨んだ。
「……っ、…そんなの…っ、しみったれるに決まってんだろっ!!うっ…、アキラに振られた俺なんて……っ!うっ、うっ…、…あぁっ!アキラアキラアキラアキラァ〜〜〜!」
「っだーーーーっ!!」
「っ!いっでーっ!!」
リンのチョップがケイスケの脳天にスッパーーンッ!!と振り下ろされた。悶絶するケイスケの前に仁王立ちするリン。
「ったく、ウジウジしてんじゃないよ!まったく!煩わしい!!こんなとこで燻ってるくらいなら今からアキラに会いに行ってくればいいじゃん!!」
「…………へ?」
「アキラに会ってちゃんと理由聞いておいでよ」
「で…でも次3時間目…」
「アキラと学校どっちが大切な…」
「アキラ」
「だろ?ほら、早く行っておいでよ」
リンはケイスケを椅子から立ち上がらせると背中を押した。
「……リン、…」
「あー、そんなお礼なんて言わなくていいよ。躰で払ってくれれば良いからさ〜。ははっ」
「っ!?」
「ばか。嘘だよ、ほら!とっとと行った行った!」
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