―夢―

□お一人目(1)
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僕は
顔も冴えなければ
学力も体力も微妙

「…神様も意地悪だな」

取り柄のひとつくらい
くれたっていいのに

なんて思いながら
今日も放課後に
友人二人と街中を
ふらふらと歩き回る

やる事もなく

さ迷うように暇を
持て余している僕の
目に映り込んだもの

見慣れた街の
人通りの少ない
隅のような場所に

小さな木製の見慣れぬ店
だが中は空っぽで
なにひとつない

でもどこか不思議な
雰囲気だけが漂っている

「なんだここ…」

無性に気になる…
看板は…ないか

「なんだよ?
 どうかしたのか?」

立ち止まった僕を見て
不思議そうに
首を傾げる友人達

「あぁ…なんでもない」

きっと
潰れたかなにかだろう

…このご時世だし

そんなことを思い
また街中をさ迷った
暇潰しのために


その店の近くの
人影に気付かないまま

 
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