―夢―

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「寝た気しねぇな…」

夢の中で
なにがあったのか

あまりはっきりとは
思い出せない

喉の辺りまで
出かかってるのに!

みたいなモヤモヤが
気持ち悪い…

スッキリしないまま
起き上がり
洗面台に行き
ザバザバと
冷たい水で顔を洗う

肌はスッキリした

顔を上げ
ふと視線を鏡で止めた時
一瞬だけなにかが
頭に過ぎった


『お待ちしていますよ』


…誰かの言葉?

誰かが待ってる…?

じゃあ

待ってるなら行かないと

何処に行けばいいのか
それすら頭の中では
曖昧なのに
身体は知っているようで

やっぱり
喉の辺りで止まってる

でも行ける気だけはする

行かなきゃいけない?
いいや
自分が行きたいんだ

「早く行こう」

手早く支度を済ませ
いつも街へ行くように
外へ向かう

ふらふらと歩き
不確かな
記憶だけで道を辿る

「あ…」

よく見たら
いつの間にか着いていた

「ここ…か」

空っぽだったあの変な店
今日は看板もあり
内装も綺麗

ぼーっと店の前で
立って見ていると
中に人が
いるのがわかった

少し考えた後、
勇気をちょっと出して
店の扉に手を掛けてみた

簡単に扉は開き
カランと
扉に付いたベルが
僕の入店を知らせる


「あの…」


目の前に
店主らしき人物が居て
僕に気付き、口を開いた





「おや、
 お待ちしてましたよ」


 
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