オリジ長編

□ソレは真実なのか
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前髪をかきわけ、もう一度確認してみようと思う。

振り返った正面には妹とその友達×5。
俺の真向かいには大きなお友達向けアニメ。
終わったな…。
キモい兄だって、ばれた。俺的はこいつらにフラグとか無いし、どーだっていいけど。
夏那的には大問題だろうな。

でも夏那は慌てずに
「み、みんな。お兄ちゃんご飯作ってくれるから、戻ろ」


「…あの、夏那のお兄さん」
怖ず怖ずと一人のメガネ娘が俺に問う。


「好きなんですか?マジおや」
マジおやとは『マジカル☆おやゆび姫』の略称だ。

「!? あ、あぁ。
好きっていうか、見てるけど」



「私も、大好きで毎週見てるんですっ!エル役の声優さんが好きで…」

エルとは、おやゆび姫と行動を共にする青い犬のことで、声優も今人気の南原光が担当している。
人間に変化するとすげーイケメンになる上、ライバルのイケメン(元・犬)との絡みで腐女子から絶大な支持を得ていて…ってオイ。


このメガネ娘、オタク?

夏那は目を丸くさせているが、周りの女子の何名かはニヤニヤしていた。
…ナニコレ?

「そ、そうですか…」

「よかったらその…もっとアニメの話とかしたいなって…。メアド、教えて貰えませんか…?」
俗に言う、フラグktkr!!

赤いフレームからのぞく、大きな瞳。桃色の頬。
三次元のくせに、ちょっと可愛いじゃないか…。


俺からメールすることなんて滅多に無いだろうし、と思い番号を教えた。
家族と秋羅ぐらいしか入っていないケータイの電話帳に、女の名前が登録される。
これって凄いことだ。
夏那の友達のメガネ娘は、新道こずえというらしい。


「ありがとうごさいます!
あの、後でメール、しますから…」
そう言って顔をほころばせた。
嬉しそうに携帯をにぎりしめる、新道さんの背中をニヤニヤしていた奴らが小突く。

いかにもラブコメっぽい展開だが、生憎俺は三次元には興味が無いのだ。
…最近は、微妙だけど。
メアドとか聞かれるのはじめてだし。
だが俺がアニオタうんぬんはなんとかなったみたいでよかった。


「…昼食、作る…から」

ビデオデッキの電源を落とし、台所へ向かったところで、玄関から物音とお馴染みの声がした。


「ハル、眼鏡持ってきたよー。
あぁ、そっか。来客がいたのか。挨拶しなきゃな。
お邪魔しまーす!」

一人で騒がしい奴だ。
その反面、秋羅が来てどこかほっとする自分が居た。



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