オリジ長編
□白いとびら
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学校までの帰宅時間はおよそ30分。
幼なじみの秋羅と並んで歩く、いつもの時間。
俺がロリコンでエロゲー好きの、キモオタだと分かっても変わらない態度で接してくれるあいつは、凄く優しい人間だと思う。
「今日はハルん家に泊まってもいい?」
母さん居なくてさ、と秋羅は付け足す。
秋羅の家は、母一人息子二人の三人家族だ。
おばさん(と言ってもすごく若い)はいつも仕事で帰ったり帰らなかったりなので、よくお隣である我が家に泊まりに来る。
昔は弟の冬也も泊まりに来ていたが、リアルが充実しているのだろうか。
最近は全く来なくなった。
今日も未来のスイーツ(笑)女とかの家でお泊りだろう。
まだ中学生なのに…。
多分妹は快くOKしてくれるだろう、と思ったところでふと思い出した。
…今日は夏那が家に入るなとか言っていたような。
友達を連れ込み、パーティーとかをするらしい。
母と父も、夏那の話を聞いて2泊3日の温泉旅行へ行ってしまった。
隠れるように1日を過ごすものだと思っていた俺に、夏那は
「お兄ちゃんはアレだから、秋羅くん家にでも行っててね」と言ったのだ。
なんだよアレって。
夏那にムカついていると、秋羅が俺の顔を心配そうに覗き込んだ。
「ハル?今日は無理?」
「無理。だからお前ん家に、泊まらせてくれ」
「は?」
びっくりした秋羅の顔。
まぁ、無理もないか。
いきさつを話しているとあっという間に我が家の前に到着した。
せめて着替えくらいは取りに行けるだろうとドアを開けると、玄関に並ぶ、大量のサンダル。
奥から聞こえる騒ぎ声。
もうパーティーは始まっているようだ。
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