オリジ長編

□オチル
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………三次元怖い。
マジ怖い。助けて。


まっ平らな胸とか、柔らかくもない背中とか触って何が楽しいんだ?
つまんねーだけだろうに。

そんなことを考えつつ、慣れた手つきで背中に指を滑らせるこいつを拒めないでいた。

頭の中がぐちゃぐちゃで、「アッー」みたいな冗談めいた言葉が全然思い付かなかった。
ただされるがまま。

考えつくのは「こいつは何がしたいんだ?」
みたいなことばかりで。

あーもう。
ショタ・ロリ大好きな俺がどうしてこんな…。
キスも嫌じゃなかったし、もしかしたら、好きだから拒めないのだろうか。
まだ、この気持ちがわからない。
このまま背中をまさぐられるのも難だったので、強めの声で言う。


「いい加減やめろよお前」

「え、なんで?」
肩甲骨のあたりに手を回しながら秋羅が言った。
やめろって言ったんだから、手の動きをやめろ。

なんかくすぐったいし。
ときどき変な声とか出そうになるし。
動きが変態っぽいし…。

指は動いていき、手が背中から肩、そして鎖骨に移動した。
ゆっくりと整った顔が上半身に近付いてくる。
肩を必死に押して拒絶しているのに、びくともしない。

なんだこの力の差…。ちょっと悲しい気分。

「ひっ…!」
思わず声が裏返った。
そりゃ首筋を噛み付かれたら悲鳴も出るだろう。
そのまま舌がのびて、ねっとりと舐められる。
うわー…こそばゆい…。

「やっ、やめろって、ほんと…」

「やだ」

上目使いで見る秋羅の頬を軽く叩く。ムードとか空気ぶち壊しとか関係ない。
もう俺が無理。

自分じゃ無くなりそうで、怖い。

秋羅は叩いたからか動きを止めて、顔をあげた。
そして爽やかな笑顔で


「そういえばさ、男同士ってできんのかな?」




「……さ、さぁな。よし、もうやめだ、やめ。腹減った」
腕を振り払い立ち上がる。
掘られるのはごめんだ。
…黙っておこう。



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