オリジ長編
□触れたい、のに
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…よく寝てる。
静かに寝息をたて始めたハルを暗闇で見ながら、俺もうとうとし始めていた。
最初はハルが隣にいるし寝付けないんじゃないか、なんて思っていたんだけれど、布団の中でじっとしてると誰だって眠くなる。
目をつむったらすぐに眠れるんだろうけど、もったいない気がして目も閉じれない。
何も出来ない俺ってダメな奴。
でも、ゆっくりでいいよね。
ハルはまだ、好きかわからないって言ってたし。
夜も老けていき、気がつけば俺も眠っていた。
昼前に目が覚めると、家が異様に騒がしいことに気が付く。
隣にハルはいない。
土日の朝だけは何故か早起きなんだよな…。
しかしハルがアニメを見ているにしても、この煩さは異常だ。
身支度を整えてから階段を降り、騒音の主がいるであろうリビングに向かう。
ソファーで二人、笑い合いながら冬也に組み敷かれているハル…って、何コレ。
正面のテレビではヘルメットを被った魔法少女と青い犬が敵と戦っている。
じっとハルを見下ろしていた冬也がこちらを向き
「おはよ、兄貴」
「…何してんの?」
「俺が居るのに春樹兄がアニメばっか見てっから、くすぐってた」
いつ帰って来たのかは分からないが、部屋着を身に纏っているのを見る限り、結構前なんだろう。
「…録画してて正解だったな」
冬也が起き上がり、にっこりと笑う。
全く…とか言っているけど、ハルもどこか嬉しそうだった。
学校ではカッコつけてるくせに、家だとやっぱガキだな。
二人とも朝飯がまだらしいので、昼食兼用のご飯を作ることにした。
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