*リクエスト作品*

□恋は曲者
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 欠伸をしながらのそりとベッドから降りるルキ兄。オレもそれに続いて降りると、頭を撫でられた。

「おはよう」

「お、はよう」

 そんな綺麗に微笑まれると、何だか照れる。もごもごと口ごもっていたらくすりと笑われた。

「ほら、あの子を起こさないと」

 あの子、とはクオ兄ちゃんのことで、オレより三つくらい年上の男のボーカロイドだ。ちなみに部屋はここの左隣。
 クオ兄ちゃんは、凄く、凄く朝に弱い。下手に起こすと本気で殴ってきたりするくらいだ。

「ああ……起こしたくないなぁ」

 前にカイ兄がクオ兄ちゃんを起こしに行ったら、数秒で返り討ちにされて泣きながらリビングに戻ってきたことがある。がく兄が行ったときはネギを首に巻かれて死にそうになってたし、メイト兄さんに至っては面倒だからと起こそうとすらしない。ルキ兄は一応後輩だからそういうのやりづらいだろうし。
 そういうのがあって、クオ兄ちゃんを起こすのはオレの役目になっていた。弟だからか、殴りかかったりとかしてこないし。いや、軽く蹴られたりはするけど。

「クオ兄ちゃーん……」

 コンコン、と控えめにノックをする。返事はない。

「いや、まぁこれで起きてくれたら苦労しないんだけどね……」

 はぁと溜め息を吐き、覚悟を決める。起こさなかったらそれはそれで後で怒られるんだし。
 音を立てぬように静かに部屋に入る。ベッドはこんもりと盛り上がっていて、近付くと小さな寝息が聞こえた。

「クオ兄ちゃん……起きてー」

 肩を揺すろうと手を伸ばした時だ。ガッと手首を捕まれ布団の中に引きずり込まれる。悲鳴なんてあげる暇もなかった。




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