半魔双子の日記

□第6話 バージル、オタフクカゼにかかる
1ページ/4ページ


兄の日記 4

3月27日
丸顔

夜8時の食事休憩中、滅多に話をしないレディが
「何だか丸顔になってるわよ、バージル。ほっぺ腫れてない?」
と、言った。

言われてみれば、顎というか耳下腺のあたりが昼過ぎから痛い。

オタフクカゼをまだやってなかったのかと驚かれたが、人界にいる時間が短いため、オタフクカゼもハシカも風疹も水疱瘡もO-157もコレラもマラリアもエボラ出血熱も鳥インフルエンザもやっていないと答えた。
…列挙してみると、人界はやはり危険な場所だ。魔界が懐かしくなる。


エイズと梅毒と淋病が抜けているとレディに指摘されたが、もちろんかかったことはない。


店長が来て、俺を見るなり「★人目か…」と、渋い顔をする。

聞けば、ダンテの持ち込んだオタフクカゼに店員が次々やられ、健康な店員もおムコに行けなくなるとか言って欠勤してしまうので、勤務シフトが大混乱しているそうだ。

…迷惑な弟だ。どこからオタフクカゼなどもらって来たのか。
愚弟に代わって店長に詫びておく。

「店員は、悪徳人材派遣業者を使えば何とか補充できるが…(←オイ!)」
と店長は言い、携帯でどこかに連絡を取る。

やがて、
「明日からの代役をカプコ○本社が用意してくれるから、君、治るまで病休O.K.。ただし、その間の給料は50パー引きね。」
と言った。

減給は仕方ないとして、代役は誰かと尋ねたら、あのDMC4の新主人公ネロだという。

彼の容姿は俺に似ていないこともないし、仕事に対する責任感は合格だ。


俺は暫し休みをもらうことにした。

顔が丸顔になっても、俺に扮装して働いたダンテ(あの姿は、思い出すたびにくやし涙が出る)に少々気が引けるが、丸顔の俺がいても出来る仕事は何もない。

ちょうど愚弟が、いつまで客を待たせるつもりだと呼びに来た。

今日も、あと小一時間で終了だ。

明日から暫く来ない由を伝えると、ダンテはちょっと口を尖らせたが、文句は言わなかった。

悪いな。暫く頑張れ。


(ダンテの日記に続く)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ