DMC小ネタ集

□小ネタ6『ダンテがバージルをお持ち帰りした場合B』
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『4ダンテがお持ち帰りした場合』

…これは夢だよな。
チューブだの機械だのに囲まれたガラスの箱の中に、昔知ってた顔を見つけちまった。

悪魔研究所の、人の精気を吸い取る籠が並んだ奥に、ネロ小僧探して突入したら、ひっそり眠ってるアンタ見つけちまった。

しかも、若いアンタのままだ。
信じられねえ。
黒い鎧のネロ・アンジェロだったじゃねえか。
オレは、青いその服着たアンタが一番辛い思い出なんだ。

フタ開けていいのか。
開けたら、プシューとかいって萎んじまわねえだろな。
砂になって崩れねえよな。ザコ悪魔じゃない、魔剣士スパーダの息子なんだから。…怖くて触れねえよ。

生きてるのか?
ガラスの内側に定期的に曇りが生じては消えている。それ見たつもりが、色の白い顔に目が行っちまった。

こんなに頬、削げてたっけ。寝てる時も、しかめっ面なの、相変わらずだな。

心臓動いてるのか?
機械で生かされてるのか?人工心肺らしき機械はない。
体に繋ってる管もない。

機械やチューブは、ただこの箱の環境を調整するためのものなのか?
だったら、尚更、アンタを外気にあてたらどうなるかわかんねえ。

…オレは、屈んでた背を起こして、ガラスの箱をよく見た。

若えなあ。
よく見ると、まだ体格が出来上がってねえじゃん。
オレは、こんなアンタと必死で戦ったんだな。
あの時は、自分も若かったけど、何だか笑えるぜ。
未熟者同士で戦ってたなんてよ。

…アンタがあの時欲しがってた力、手に入れたんだぜ。
パーフェクトアミュレットで親父の剣が覚醒するんだな。
あの剣は、多分親父自身だぜ。
滅多に魔人化出来ねえが、した時は、親父そっくりの魔人になる。
攻撃も全然違うものになるし、火龍も召喚するんだ。凄まじい力だった。
あれがなけりゃ、ムンドゥス倒せなかったな…。

アンタは、あれからずっと眠っていたのか?
右腕が肘から無いな。
あの小僧に取られたのか?それともくれてやったのか?

あの小僧、どこかアンタに似てるところがあるぜ?
アンタ、塔を建てて魔界に旅立つ前に、人間の世界に種を残したのか?

用意のいいアンタらしいけど、人間の女相手にカレンダーとか見て励むアンタを想像すると笑えるぜ?

(その時、後ろに気配。ダンテが跳び退く)
「キャッチ、ディス!」
(ぐわしゃああああん!という大音響で、ガラスの箱が砕け散る)
「ネロ!」
「オッサン、何金縛りになってんだ!箱からもの凄い悪魔のエネルギー出てたぞ」

「掴み潰したな!?もしかしたら、お前の父親を」

「は?オレの父親?顔も知らねえや、そんなもん。」
「だからこのバージルぐはっ?!」

ダンテの頭に、鉄拳制裁が下った。

「貴様は黙って聞いていれば、好き勝手なことを!」
舞い上がる埃の中で、青い服の若者がフーフー怒ってダンテを怒鳴りつけた。

「誰が魔界に旅立つ前に人間の女相手にカレンダー見て励んだだ!貴様と一緒にするな糞馬鹿!それから、考えていることをいちいちだらしなく口から出すな!丸聞こえだ!それから…」

「バージル!」
ダンテは青い服を夢中で抱きしめた。

「危ねえ!オッサン!」

ネロが二人を両手で掴んでひきはがす。

バージルは、剥がされたことに気付かないかのように罵倒を続ける。
「だいたい貴様何だその老けかたは!汚らしい髭を剃れ!それから口がピザ臭い!いつから歯を磨いてないか、正直に兄さんに言ってみろ!」

「バージル〜!何年ぶりに会ったと思ってるんだ!?お前は本当にかわいいダンテなのかいとか、これは夢じゃないのかとか、素敵に霜降り肉になったねとかいうファンタジーは?」

「オッサン、目え覚ませ!アンタの前にいるヤツ、なまじの悪魔じゃねえぞ!」
ネロが悪魔の右腕で掴みかかるのをバージルはヒラリとかわした。

「誰だか知らんが小僧、箱の中で、いろいろと吸い取られたり馬鹿な話を聞かされたりで俺は機嫌が悪い。手を出すと無事では済まんぞ」
バージルは口に閻魔刀の柄をくわえ、左手で鞘を一気に引き抜いた。

「は?何言ってっか、わかんねえんだよ。」
ネロが怯むどころか、耳に手を当てて挑発する。

「死ぬか?貴様」
バージルが、左手一本で閻魔刀を構える。

「バージル!駄目だソイツはお前の息子なんだ!未だ見ぬ父と子が白刃を決する運命の悲劇!いけないわ…でもばらいろ〜!」
ダンテは感極まったようにルシフェルを召喚して赤い薔薇をくわえる。

「誰が息子だよボケェ!でもって、オッサンがお花目になんなや!いつか言おうと思ってたけど、薔薇くわえるの、スゲーダサいぜ、笑っちまうっての。」
ネロが左手と悪魔の右手を叩き合わせながら毒づいた。

「クソガキ!オマエの言いたい放題が無礼だってことを今日という今日は体に教えてやるぜ!年長者は敬え。」

ダンテのセリフにバージルの額に青筋が立った。
「…貴様、俺の勘にさわるセリフを口にしたな」

ネロが、
「人をいちいち子供扱いしやがって、助けてやってんだろがオヤジ!地獄行きやがれ!」

バージルが、
「今のオヤジでピンと来た。貴様こそこの小僧の父親ではないのか?口汚いところがそっくりだ。それを俺に押しつけようとするとは言語道断。」

「キイイィ!こんなオッサンがオヤジのわけないだろが!誰だよテメェ!」

「このクソガキがオレの子供?バージル、せっかくの再会にロマンもファンタジーもない上に、リアリズムが服着てるような、言い換えれば身もフタもないアンタの言い方、痺れるけどむかつく〜!愛想なしっ!ツンデレ!こっちはクソガキ!行くぞでりゃああああ!」
「くたばれ脂中年!はあっ!」
「上等だ、オヤジ、ゴルァアアア!」



…4ダンテがバージルをお持ち帰りした後は、ネロの父親はどちらかを賭けて、2人+1人の間で、悪口雑言と憶測と掴み合いという低レベルな闘いが、毎日繰り広げられているという。

(2ダンテの場合に続く)
 

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