半魔双子の日記
□第6話 バージル、オタフクカゼにかかる
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ダンテの日記 5
3月28日
天気 小僧のち悪魔
兄貴にオタフクカゼがうつったんで、デビルボーナスバトルの代役に新人のネロがやって来た。
カプコ●からミヤゲ持参だ。
…コレがプレステ3との同梱版か。
十年後のオレと新人ネロの黒い箱だ。
歳を取っても、オレは相変わらずオトコマエだぜ。
「兄貴のモーションした所もあるんだろ?」
…って聞いたら、ナニ倒れてんだ?
貧血?
案外ヒヨワなんだな。
衣装合わせで着た兄貴の服も、ブカブカだった。
まだ体ができ上がってねえ歳だな。
胸板なんか、オレの半分くらいの厚みだぜ。
ま、髪上げて顔作れば、弱っぽい兄貴に見えるだろ。
セリフは下に出るからそれを読めばいいことや、デビルボーナスの手順を説明して、閻魔刀とフォースエッジを渡す。
オレの貫禄に押されて、ネロは小さくなってハイハイと聞いてる。
そんな緊張すんなや。おとなしいヤツだ。
…これなら、今日のバトルは楽勝じゃね?
今日のオレの台は、バリ高設定だ。
最初のデビルボーナスがかかり、兄貴の扮装をしたネロが、おずおず出て来る。
もちっと胸張れ、兄貴に見えねえ。
先手はネロだが、閻魔刀の攻撃がヌルいんで、笑っちまった。
軽く避けて、オレJACの始まり。
オレの活躍を集めたカッコイイ録画が流れてる間に、遠慮しないで本気でヤレと言ってやるが、ネロはモジモジしてる。
案外はっきりしねえ性格なんだな。
次のバトルで、オレは少し、本気を見せることにした。
ネロの細い腹にミリオンスタブをお見舞すると、吹き飛んだ後でビクった顔してこっち見た。
…少しはヤル気になったろ?
ネロの表情が変わったんで、ヤツに火がツイたんが分かった。
次はオマエの攻撃だ。マジで来い。
…スゲェ長距離から、滑るように突っ込み、斬撃を出して来た。
イイぜ…それがストリークか。
やられて膝を着く演技をしながら顔を上げると、肩に閻魔刀をかついだネロが、オレに向かって中指立ててやがる。
ナマイキなヤツだ。
嫌いじゃねえぜ?オレもナマイキだ。
「来おぉイ!」
って、セリフ違うし!?
注意しようとして、ネロの目がイッちまってることに気づく。
ツラをひん曲げて、オトコマエ台無しの顔で叫んだ。
「ツカみ潰すぞ、ゴラァ!!」
………………。
(まだ続く)