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□カワラナイモノ カワルモノ
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黒曜中との戦いの後、野球バカは少しだけ、変わった。
時折感じる殺気はいつも暢気なアイツとは思えないほど強く、皮膚を貫く鋭利な刃物のようになった。
10代目は・・・変わらない。
表面的には何も変わらない。
だけど…内面は強く変わった。
なのに俺は…
俺は…何も変わらない。
表面も、内面も、殺気すら、何も変わっていない。
あの頃のままだ。
あの頃の、
1人で居た頃のまま…。





「何してるの?こんなところで?」

不意に頭上から降り注がれる声。
冷たく、威圧のある低い声。
不機嫌さも露に。

「僕の目の前でサボりだなんてイイ度胸してるね。弱いくせに。」

ヒラリと俺の前に飛び降りてくる黒いモノ。
吊り上った黒の瞳が俺を映す。
そこに映る俺はなんて…

「ひでぇ顔・・・」

クッと喉で笑った俺を奴は不思議そうに首を傾げた。

「何か言ったかい?」

先刻の言葉がどうやら奴には聞こえなかったらしい。

「いや?…で?サボってる俺に制裁しに来たって訳?いいぜ。相手になってやる。」
「………。」
「来いよ。」

俺は掌を上に向け、挑発するように指先をクイっと動かした。








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