海馬総受け(旧)

□嘘から出たハプニング?
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海馬の仮眠室。

そのベッドに横たわる城之内。

その傍には、海馬がいた。


先程断末魔の叫びが聞こえたかと思いきや、モクバが血相変えて海馬の部屋へやってきたのだ。


びっくりしたが、結局、医者に見せたところただの脳震盪だろうということで、仕方なくこのベッドに運んだのだ。


海馬は用意させた氷水の入った洗面器に温くなったタオルを浸した。そのままぎゅっと絞る。

城之内の額に乗せてやると、冷たかったのか、僅かに身じろぎした。


「……ん…………」

ゆっくりと目を開けた城之内に知らぬ内に、海馬の口から安息の吐息が漏れた。

「全く、どこをどうしたら貴様のような間抜けになれるのか。もう少し考えて行動しろ、馬鹿め」

だが、悪態つくのも忘れない。

内心少し慌てたことは決して言わない。この男が図に乗るのが目に見えているからだ。


だが、いつまで経っても城之内はぼーっとしたままだった。


「貴様、頭の打ち所が悪くて物も考えられんのか」

腕を組み、ぶすっと言い放つ海馬。
だが、城之内はまだ焦点の合わぬ瞳を部屋に張り巡らせた。

時計でも探しているのだろうか。

「貴様が倒れてからそう時間は経っとらん。今は…11時30分だ。腹でも減ったのか、凡骨」

半ば呆れたような顔をして海馬が言う。

だが、城之内はその言葉には反応せず、むくりと起き上がった。
その拍子に、額に乗せていたタオルが落ちるが気にも留めない。


「寝ていろ。ただの脳震盪とはいえ、2時間近くも気絶していたのだぞ。貴様は凡骨である前に、ポンコツなのだからこういうときくらい大人しくしていろ」

海馬は城之内の肩を押してベッドに戻そうとする。が、城之内はその手をやんわりと払った。

そして




「お前、何やってんだ?」





海馬の目を見て、ぼそっとそう言ったのだった。





目が覚めてびっくりした。


だって、あの海馬がいたんだぜ?

あ、の、海馬がだ!!


「へ?……つか、ここドコよ」


やったら大きな部屋で、そのくせあんまり物がない。
しかも俺が今寝ているベッドはすんげぇ軟らかくって、ふかふか。


「俺の仮眠室だ」

海馬は一瞬だけ訝しむような顔をしたが、素直に答えた。


「はぁああ!?な、何でお前の仮眠室なんかに俺がいるんだよ!?」

城之内は思いっきりびっくりしたような顔をして勢いよく立ち上がった。

「人の話を聞いてなかったのか。凡骨が。倒れたと言っただろう。貴様は階段から間抜けにも転げ落ちたのだ」

だから寝ていろと言っているだろうが、と言われ城之内は混乱しそうな頭でとりあえず落ち着こうと、ベッドの上に座り込んだ。

「えっと、俺、階段から落ちてなんて無いぜ?……雪で転びはしたけど」

ケツ打ってすんげえ痛いぜ。

そう言って尻を撫でる城之内。
ま、車で移動しているお坊ちゃんにはわかんねえだろうがな、と嫌味を言ってやる。

「雪だと?」

海馬はさらに眉を寄せた。
そしてしばらく考え込み、ふっと笑った。

「エイプリルフールの嘘にしてはお粗末だ。もう少しマシなのを考えろ。城之内」

そう海馬は笑った。

その穏やかな顔に城之内はびっくりする。


うおおおおお!!!

か、海馬が笑った!?

アルプスの少女ハ○ジに出てくるク○ラが立った!!と同じような心境だ。

ぱくぱくと口を開いている城之内の手を海馬がそっと握る。


「きょ、今日は早く仕事が終わる。……待って…ろ/////」


そうぼそぼそと喋る海馬は何故か耳まで赤い。


「……お、おう//////」

そのはにかんだような表情につい城之内は返事をしてしまう。

「で、ではなッ…」

赤い顔を隠すようにすっと手を離した海馬はそそくさと部屋を出て行く。

結局広い部屋にぽつ〜んと残された城之内。


しばらくは思考回路が断絶されたかのように何も考えることができなかった。







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