海馬総受け(旧)

□嘘から出たハプニング?
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おっし、ちょっとおさらいしてみっか。

城之内依然ベッドの上に座り込んだまま、腕組をして何故こんなことになったのかを考え出した。



確か、俺は雪の中を新聞配達してたはずだ。

それがなぜ、こんなところにいて、しかも仲良く海馬と喋ってんのか。


海馬は今日がエイプリルフールだと言った。

確かに、暖房が入っているわけでもないのに部屋は暖かい。
そっと窓の外を見てみると、会社の前の並木道にはこれでもかと桜、桜、桜。

城之内は絶句する。

「あ〜、う〜」

さらに、窓に映った自分の姿を見て絶句する城之内。

「か、髪が……伸びて…る?」

つい最近散髪に行ったはずなのに、この伸びようはありえねえ…。


いくら頭の悪い城之内でも今のこの状況がおかしいということがわかった。


そう。

お気づきの方も多いかと思うが、城之内は階段から落ちたショックで、記憶が後退していたのだ。

それは、海馬と恋人同士になる前。

まだ、いがみ合っていたころの城之内に。



と、とりあえず、俺は何かおかしい。

城之内は無い頭を働かせて自分の記憶が逆行しているのでは、という考えまで及ぶことが出来た。


でも、解せない。


なぜ、海馬と仲良しこよしなのか。



俺はあいつに殺されかけた。

まだ、髪の毛が緑で〜、赤いマント羽織ってて〜。

それからペガサスの島に行って、あいつがそんなに悪いやつじゃないってことも知った。

それから電脳空間に閉じ込められて……。

何とか遊戯やモクバと一緒に海馬を助けて……。


それが最後だ。


海馬と会ったのは。


アレから海馬と会うことなんて無かったし。だってあいつ学校になんて来ねえし。


なのに、何故俺と仲がいいのか。

さっきの海馬の俺に対する接し方は、今までと180度違った。



「……あ、ひょ、ひょっとして…」



すっぽりと抜け落ちてしまっている記憶。その何ヶ月かの間に、海馬の脅しにあってんじゃねえか?…俺。


『俺と仲良くしないとお前の妹がどうなるかわかっているだろうな』

とか言って!!!


んで、俺は仕方なく海馬と仲良くしてんじゃねえか??

あ、ありえる………か??





いや、ありえねえだろ。

自分で自分の考えが恐ろしい。


だが、それしか思いつかない。


やべえ。

もし、そういう取引があるんだったら、俺の記憶がおかしいことに気付かれたらやばいんじゃないか?

記憶が無いのをイイコトに期間延長…とか、ただ働きとかさせられても困るっ!!!




結局……

「おっし、ファイト、俺!!」


城之内は小さく気合を入れてから仮眠室を出たのだった。








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