海馬総受け(旧)

□嘘から出たハプニング?
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「あ、城之内!!もう大丈夫なのか?」

部屋を出るとモクバがいた。

「お、おう…」

城之内は迂闊に返事が出来ない。話を振れない。ボロを出したららこちらの負けなのだ。

「モクバ、俺が終わるまでコイツのことを頼む」

そのせいか、海馬にまだ意識がはっきりしないのだと判断したらしい。


「あ、うん!!任せといて!!」

モクバはどうやら機嫌がいいらしい兄の顔を見て微笑んだ。





部屋を出るとモクバが口を開く。

「ホンット、お前に怪我が無くってよかったぜぃ!」

そう言ってくるモクバの顔に嘘なんて無くって。

「あ、ああ」

城之内は混乱する。

「……あと、兄サマの恋人なんだから、…………兄サマ悲しませるようなことしたら承知しないぜぃ!!」

びし!!と指を指される。

「…ああ」



……………って、えええええええ!?



こ、恋人って、誰と誰が!!


喉からつい出そうになってしまった声を何とか堪えることに成功した城之内。

友達ではなく、恋人同士??

だが、頭はさっきから困惑するばかりだ。

「……な、モクバ……。俺と、海馬って、……恋人……同士……に見えるか?」


「何だよそれ」

ぎろりと睨んでくるモクバと目が合う。

その瞳が鋭いものだったので、城之内は安心する。


あ、そうだよな〜、そんな馬鹿なことが…


「俺に自慢してんのかよ〜。兄サマは自分のものだって」




へ?………自慢??


………してませんって!!


城之内は心の中で叫ぶ。


「な、なあ、モクバ……」

城之内がびくびくした声で話しかけるとモクバが立ち止まってこちらを向く。

「も、もし、俺が今、記憶喪失になっちまった〜とか言ったら……どうする?」

どきどきしながら聞いた城之内。
だが、モクバはぷっと笑った。

「城之内ぃ〜、それはいくらなんでもお粗末過ぎるぜぃ。エイプリルフールで嘘をつくっていうんなら、もうちょっと捻った嘘つかないと」

まだまだだな、城之内、と笑われる。


おおお、やっぱ信じてもらえるわけねえよな〜。


結局、会社の中にある食堂で時間を潰していた俺とモクバ。

恋人同士だって発覚して、どこからどう転んでそんな関係になったのかわからないけど、ここは迂闊に動けない。


だって、モクバは恋人同士だって思ってても、海馬はわからねえ。ただの契約かも知れねえし、俺がこんなんだって知った途端に手のひら返すかもしんねえし。

俺はもう、何を言っていいのか何を言ったら悪いのかわからなくて、一人アップアップしてた。


そんな時間が2時間ほど過ぎた時、海馬がやってきた。

「待たせたな。帰るぞ」

そう言ってくる海馬の顔がまた見たことの無い顔で。


なんて〜んだ??

モクバには柔らかい笑顔浮かべてんだけど、俺には少しだけ違うっつ〜か。

少し、少しだけ照れてるような……。


俺の思い過ごしか……。


そ、そうに違いねぇ!!


だって、いくら恋人同士だって言われても、想像つかねんえだって!!!

ありえねえだろ?

俺と、海馬だぜ!?

あの、顔を見れば罵声を浴びせ、浴びせられる関係だった俺たち。

それがどこをどうやって……。







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