海馬総受け(旧)

□嘘から出たハプニング?
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はぁ〜。

城之内は海馬邸に着いた後、海馬の自室に通された。
広い部屋。豪華な調度品。

だが、全く見た覚えが無い。

メイドたちの対応を見ていると、俺は何度もこの部屋に来ているみたいだった。


……どうしたもんか。


今海馬はこの部屋にはいない。

スーツの上着だけを脱いだ後、部屋を出て行ってしまったのだ。


幸か不幸か。


どちらにしろ、ここを早く出ないといけない。
だが、海馬に不審がられてもいけない。


しっかし、車の中の海馬には焦ったぜ……。


海馬はもう一度溜め息をついてソファーに深く身を沈めた。


こっちは海馬と一緒にベンツなんて緊張しまくってんのに、暢気な顔して近づいてきやがって。

また……その顔がえれぇ美人だから始末におえねえ……。

とりあえず、心臓がばくばくいうのを何とか誤魔化すだけで精一杯。


……し、心臓がもたねえ……。



ついでに精神ももたねえ……。


城之内はやつれていった。
実際、朝に海馬コーポレーションにいたときよりも、1キロは痩せてしまっていただろう。

ストレスとはコレほどまでに酷いのだ。





「待たせたな」

突然ドアが開き、海馬が入ってきた。
それと同時に城之内の身体も硬直する。

ちらりと海馬の表情を盗み見てみると、少しだけ、眉を寄せていた。


海馬は城之内をじっと見た後、ソファーに座った。

それも、城之内の真横に。


城之内の身体が更に硬直する。

このまま真横に海馬がいるなんて絶えれそうにも無い。
城之内がそう考え、向かいのソファーに移動しようかと腰を浮かせた瞬間、それを海馬が遮った。


「何があった」


その一言に城之内の心臓が飛び跳ねる。


う……、何があったかって……、言ったらやばい…のかもしんねえし……。


「い、いや、別に何も無いぜ海馬」

誤魔化すように首を振る。
だが、それでは納得がいかなかったのか、海馬が更に身を乗り出してきた。

「だったら何故……」

そこで海馬の声が途切れる。

「…な、何だよ」

何かしてしまったのだろうか、と城之内は内心慌てて慌てて。手のひらには汗びっしょりだ。


だが、そんな城之内に、海馬は衝撃的な言葉を発した。


「だったら何故、瀬人と呼ばない」


「…………へ?」


「いつもは俺のことを瀬人と呼ぶだろうが。なのに今日は一度も呼ばれていない…」


そう言ってくる海馬の顔は、城之内のホントすぐ傍で。

心なしか耳が赤い海馬の端整な顔に、城之内は一瞬見惚れた。

だが、それもすぐに現実に戻る。


………し、しまった〜!!!

き、記憶を失う前の俺って、海馬のことを名前で呼んでたのか!!
し、しかも呼び捨てかよ!?

つい最近までいがみ合っていた記憶しか持たない城之内にとってはある意味拷問である。

だが、ここを乗り切らねぇと!!


城之内は意を決して口を開いた。


「……わ、悪かったな、…………せ、……瀬人」








……くわ〜!!!


言った瞬間、後悔するやら恥かしいやらで、もう海馬の顔が見れない。


それでもチラリと海馬の顔を見てみると、海馬は何かを考えているようだった。


「…ど、どうした?」


城之内は思わず海馬の顔を覗き込んだ。
だが、海馬はチラリと城之内の目を見ただけで。



その後、とんでもない行動に出たのだった。










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