海馬総受け(旧)

□飢え
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「海馬ボーイ…まだご機嫌斜めデスか?」










「……黙れ」













暗い部屋、ライトスタンドの明かりを頼りに本を読んでいたペガサスは、さらに暗い場所にあるベッドに臥せっている海馬に声をかけた。


だが、返ってきた声はすこぶる不機嫌。


伏せた腕の間から見えた蒼い瞳は獰猛に獲物を狙っているのが窺えた。


だが、その瞳が絡んだかと思えば、ふ…と逸らされる。

どうやらまだ意地を張っているようだ。


ペガサスは仕方が無い人デース…と、どこか笑みを浮かべながら頬杖をついた。













事の発端は1週間前。




あるペガサスの行動が引き金となってのことだった。










いつものように夜中に起きてきた海馬は、ふらり…とペガサスの部屋にやってくると、シャワーを浴び終えてベッドに入り本を読んでいたペガサスのところまで来ると、行儀悪く靴を履いたまま、ペガサスの膝の上に座り込んだ。




そのままペガサスが止める時間を与えず胸元を掴むと乱暴にその袷を開いた。



すると、色白のペガサスの白い首から胸にかけてが露わになった。






首筋からゆっくりと視線を下にすれば、ドクドクと脈打つ心臓。








そこに、まるで存在を確かめるかのように、手を這わせる。



また視線を首に戻し、うっすらと浮かび上がった血管を見て、










「…あ…ふ…」










と、恍惚の笑みを浮かべた。


その頬は、たかが胸元を見ただけだというのにうっすらと上気しており、視線を下に移せば、その喉に噛み付くときの絶頂を想像したのか、すでに勃起しているようであった。








海馬はダンピールであった。


ダンピールとはヴァンパイアと人間の混血種である。

日本人である彼が、何故このようなところにいるのか、なぜダンピールなのか。
そのようなことは一切わからなかった。

ただ、わかっていることは、ヴァンパイアとは違い、十字架に触れることが出来るということ。
陽の光には当たれない。そこは他のヴァンパイアと変わらない。

そして、ダンピール特有の力。


海馬は力、能力、全てにおいて他のヴァンパイアより優れていた。

だが、特出した能力は


「感覚」


であった。




五感すべてが最高値。

そして第六感というものもそれには含まれる。




さらに、ヴァンパイアは、人間の血を飲むことにより命を繋ぎとめる。

そして、吸った人間を、己の眷属にしてしまう。



だが、血を吸われたペガサスは眷属にはならなかった。



海馬の場合は特殊で、海馬が人間の血を吸っただけでは眷族に出来ないのだ。



人間を眷族にするためには、己の血を飲ませなければならなかった。






そして、ペガサスに出逢った。





あの時の夜のことは今でも忘れられまセーン……






海馬はペガサスを眷族にすることを拒んだ。


ペガサスの血を、純粋な血を求めていたからだ。


己の血が混ざってしまっては、純度が下がる。





それゆえ、ペガサスは人間として、




海馬と時間を共にすることを望んだのだった───









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