海馬総受け(旧)
□嘘から出たハプニング?
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今日の俺には大事な大事な使命ってやつがある。
あのな?
今日が何の日か知ってっか?
そう!!
泣く子も黙る(?)エイプリルフールだ!!
とりあえず、正直をモットーに生きている人間が、唯一嘘をつきまくってもいいと、神様だか政府だかが決めた日だ。
って〜コトは、この俺も嘘をつきまくってもいいってことだ。
だから俺は、日頃酷い扱いをしてくる恋人である海馬に嘘をつこうと思っている。
っとに、性格悪いんだぜ?
恋人同士だってのに未だに凡骨扱いするし、犬って言うし、口を開けば五月蝿い、帰れ、触るな。
さすがの俺も恋人だって胸張って言える自信が無いぜ。
ベッドの中ではあんあん言うしかできねえくせにな〜。
そんなことを考えていたら顔面に何かが激突してきた。
「ごふっ!!」
激突したのは辞書ばりに分厚い本。
もちろん投げてきたのは海馬だ。
あ、言っとくけど、手が滑ったとかじゃないのは一目瞭然だからな?
ちなみにここは海馬コーポレーションの社長室だ。
気合入れてこの日を待ちに待っていたんだけど、生憎海馬は仕事でさ。
俺は休みなもんだから、朝からこの社長室にお邪魔してる。
どんな嘘をつこうか、いつ切り出そうか。
そんなことを昨日はつらつらと考えて。
結局いくつか候補があがったが、海馬が仕事に没頭しているから中々嘘をつけない。
んで、悩んでたトコに何故か本が顔に激突したってとこだ。
「何すんだよ海馬!!」
城之内は痛む鼻を押さえたまま海馬を睨みつけた。
だが、海馬はしれっとした顔。
「貴様、何をニヤニヤしている。気持ちが悪い」
まさか何か企んでいるのではあるまいな、と海馬は目を細めて城之内を見た。
「お前は俺をそんな風にしか見れないのかよ!!」
「ふん、貴様を信用していては身がもたんのでな」
な、コレが恋人に言う甘いセリフか!!って突っ込みたくなるだろ。
「…ったく」
城之内は自分に激突してきた本をとりあえずテーブルの上にどさっと下ろすと、ソファーに横になり考え出した。
もちろん、考えることは一つのみ。
どんな嘘で海馬を騙してやろうか。
コレだけである。
嘘をつく気があるのなら、ここに来る前に考えておけ、なんて言うなよな〜。これでも色々考えたんだぜ?
『海馬、遊戯のことが好きになっちまった。……別れよう』
こう言ってみたときの海馬の反応を考えてみる。
『ああ、別に構わんぞ』
うわ〜!!!却下却下!!!
すんなりOKする海馬がナチュラルに浮かんだぜ、今。
って、こんなこと考えてしまう俺っていったい……。
んじゃ、次。
『海馬!!俺、今そこで殺されそうになった!!怖かった!!』
そう言ってみたら海馬は……
『そうか』
って言われそう!!しかも、書類から目を離さずにしれっと言いそう!!
げげげ、立ち直れねえぞ…。
あ、じゃあ、
『海馬!!今そこでモクバが殺されそうになってた!!』
こう言ったら海馬は……
『な、何ぃぃ!?おのれぇぇぇ!!!どこのどいつだ!!即刻処分してくれるわぁぁ!!!磯野ぉぉ!!衛星ミサイルを用意しろ!!!』
あ〜、言いそう。
すんげえ言いそう……。
てか、俺ん時とのこの差はいったい何!?
悲しくなるから他の方法を。
う〜ん、
もっと、海馬がダメージを受ける嘘を……。
結局うんうん唸りながら考えたが、海馬に「五月蝿い!!」と怒鳴られ、仕方なく城之内は部屋を出た。
一階下にある休憩室に行ってゆっくり考えることにしようかと、階段に差し掛かったそのとき……
「ぎゃ〜!!!!!」
普段考え事をしながら階段を下りるなんて芸当をしたことの無い城之内は、見事にすっころび、見事な階段落ちを披露した。
「な、何事だ!!」
あまりの音に磯野が飛んでくる。
「ど、どうしたんだ!?」
モクバもひょっこり顔を出す。
兄に差し入れのサンドイッチを運ぼうとしていたモクバ。呆然と立っている磯野の視線の先には、大の字に転がった城之内がいたのだった。