海馬総受け(旧)
□着替えにご用心
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童実野高校
首席
その名は
海馬瀬人
頭脳明晰、容姿端麗、品行方正
加えて教師受けもいい。
だが、そんな彼にも教師達が頭を悩ます欠点があった。
それは、
登校拒否…ではなく、あまりにも出席日数が足りなさ過ぎること。
それは殆ど課題で済ませていたが、そういうわけにもいかない授業というものが存在する。
それは…
「今日のプール楽しみだね〜」
楽しそうに笑う獏良。
「いいわね〜、あんたたち。女子なんて体育館でバレーよ?暑くて死んじゃうじゃない。汗まみれになるのは男子でいいのに」
不服そうに愚痴を零すのは杏子。
女子はこの間入ったんだからいいだろうが、とブーブー言うのは城之内と本田。
空はかんかん照り。雲ひとつ無いいい天気だった。
だが、気乗りしない人物が一人。
「う〜、眠いよ〜」
そう言いながら机に突っ伏しているのは遊戯。
実は昨夜、新作のゲームをやりこんだため、ひどい寝不足だったのだ。
『大丈夫か、相棒』
心の中からもう一人の自分が話しかけてきてくれるけど、今はそれどころじゃない。
目を瞑って眠ってしまいそうになるのを必死で堪えていたのだ。
今眠ってしまったら、きっともう起きれない。
それほどに眠かったのだ。
『相棒、辛いんなら俺が変わるぜ。どうせ5時間目は体育なんだろ?』
そういうもう一人の僕の声も遠くって………って、ええええ?
「いいの!?もう一人の僕!」
『ああ、泳ぐのは得意だし、当てられる心配も無さそうだしな』
さすがに数学とか、特に相棒が苦手な英語は手を出すわけにはいかない。
だが、体育ならば。
「じゃあ、お願いしちゃおうかな〜」
えへ、と可愛らしい顔をして、お願いをする遊戯。
ホントはこんな暑い中だからプールに入って遊びたいんだけど、眠気には勝てない。
ここは心の部屋でお昼寝、もいいだろう。
なにせ自分の思い通りになる部屋だ。
クーラーも入れ放題。
結局、5時間目のプールはもう一人の自分にバトンタッチしてもらって、遊戯は心の奥へと引っ込んだ。
「プールか。楽しみだぜ」
「遊戯〜、更衣室込むから早く行こうぜ〜」
向こうから声をかけてくる城之内たちに、ああ!!と返して、遊戯たちは更衣室へと向かったのだった。