海馬総受け(旧)
□烙印
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見た。
見てしまった。
熱い、熱い砂漠の真ん中。栄える町。
ユウギというファラオが君臨する町。
その中心部、大きく構える宮殿、その大広間で一日の報告が行われていた。
大神官、セト。
彼は恭しく片膝をつき、ファラオであるユウギに祭事の報告をしていた。
神官と言えば他の国はじじいばかりだが、セトは違った。
若く、聡明で、……美しい。
ユウギは自分に傅く彼を舐めるように眺めた。
砂漠ではめずらしすぎる、白い肌。だがその肌も長い神官服が隠してしまっている。
そして時折、書物から目をはずし自分を見るその、ブルーアイズ。
ユウギは自覚していた。
自分がそのブルーアイズに捕らわれていることを。
だからこそかもしれない。
彼の、首筋の異変に気づいたのは。
赤い、
鬱血。
見た瞬間、血が沸騰した。
その後のことは覚えていない。
どんな報告だったのか、自分がそれに対して何を言ったのかさえ。
頭から、離れなかったのだ。
セトが。