海馬総受け(旧)

□束縛
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授業が終わった後、みんな自然と別れた。もちろん、寄り道する気なんて…あるはずもなかった。






家に帰りたくなくて。城之内は街を歩き回った。

歩きながら…焦点の合わない目で。色んなことを…思い出していた。






あれは…どれくらい前だろう。担任に言われて、城之内は校内を歩き回っていた。

「ったく…海馬どこだよ!課題ぐらい自分で持ってこさせろよな。つか、校内放送すりゃはえーじゃん」

滅多にこない海馬が学校に来た。課題を提出するために。

滅多に見ない顔だから通りすがりの人に聞きゃ分かるだろうと思ったのは正解だったようだ。音楽室に行くのが見えたという情報を聞きつけ、城之内は走っていた。

理由は遊戯も一緒にいるのを見たということも聞いたから。

ひょっとしたらデュエルをしているのかも!そう思ったから城之内は急いだ。

リベンジだ。海馬に勝負を挑んでやる。





不思議なことに、海馬と対峙している時は…言い知れぬ高揚感が常に付きまとっていた。





それは、強い者と戦うときの…一種の武者震い…みたいなものだと。そう思っていた。










あんなものを見るまでは。












「…んっ…やぁ…あ」





……なんだよこれ…





「海馬っ…かい…ばっ」





僅かに開いていたドアから洩れて聞こえる…甘い声。





「ゆう…ぎ…っ……んあっ」





城之内は知っていた。すぐに分かった。この声がどんな行為を示すのか。





見てはいけない…。




脳が警告を発しているのに……城之内はドアの隙間に瞳を寄せた。






「……っ!!」










城之内は走っていた。そして気付いてしまった。
あの言い知れぬ高揚感は…




…あの男…海馬限定なのだと。





そしてそれは武者震いなどではなく。




恐らく海馬を抱いていた遊戯に近い心境。










いや、…同じだった。











城之内はそのまま走り続け、中庭に来てやっと止まることができた。


「はあっ、はあっ」


息が荒い。酸素を吸っても吸っても、入ってこない。
肺に穴でも開いているのか。ひゅーひゅーと掠れた呼吸しか出来なかった。


それが今までに無いくらい全速力で長い距離を走ったからだとは、考えれる頭ではなかった。






動転。






だが、そんな城之内に体は更なる追い討ちをかけた。





「……っ!!」





下肢に違和感を感じた城之内が見たもの。それは異様に膨れ上がった己の欲望だった。





途端、城之内は胃の中のものを吐き出した。





吐いて吐いて。




胃液だけになっても吐き続けた。










その後城之内は人知れず泣いた。










生まれて初めて。本気で泣いた。










それからしばらく、城之内は荒れた。






人も殴った。物も壊した。荒れに荒れて。




最後に行き着いたのは、心なんて消えてしまえばいい。







そういう歪んだ思いだけだった。



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